トロピカル・タイム〜南太平洋航海記〜
ニュージーランドからヨットで南太平洋をクルージング。4年間の南太平洋航海記

自然の摂理?出生率を調整する方法 ソロモン諸島

2010/12/03<

2005年 10月
さて、ヌメアの後、どうしようかな〜と思いつつ、とりあえずバヌアツに向かいました。日本まで行くのであれば、バヌアツで食料を仕入れるほうが安いという理由からでした。それでも、まだはっきりと決断はしていませんでした。

けれど、「ソロモンはいいぞ」という言葉で心を決め、北に上がってみることになりました。

ソロモン諸島はバヌアツの斜め右上にある島国です。それはそれは原始的な国で、マラリアの危険がかなりあるということでした。また、南太平洋の島々では水はそのまま飲めるところがほとんどですが、ソロモンは気をつけろということでした。

そんなソロモンでは、「出生率調整」のためにユニークなならわしがあるそうです。結婚は生涯2回することになっており、1回目は若い女性と年寄りの男性、そして2回目は年配の女性と若い男性という組み合わせなのだそうです。そうすることにより、自然に出生率を調整できるということなのだそうです。もっとも最近は異議を唱える人もいて、町では行われていないようですが、離れた島の村などではまだこの風習が残っているようです。

かなり興味深いソロモン諸島でしたが、この国のチャートが1枚しかなく、なかなか接近することができませんでした。チャートなしで下手に接近すれば、大事故を引き起こしかねません。

島の人々がこちらに向かって手を振ってくれているのが見えますが、リスクを冒すわけにはいかず、2〜3日周辺をうろうろした結果、ソロモンによるのは諦めることにしました。

ソロモンを通り過ぎると、緯度はどんどん下がっていき、太陽が近くなるのがはっきりとわかるようになりました。地球は丸い、丸い部分は太陽に近いというのが日に日に実感できるようになっていくのです。

3週間ほどそんなギラギラした熱帯の中を航海し続け、くたくたボロボロで、パプアニューギニアに到着しました。

パプアニューギニアはバヌアツやニューカレドニアとはまったく違う趣を持つ国でした。まず、住んでいる人の肌の色が違うのです。とても色が濃く、真っ黒に近いのです。さすが赤道直下の国です。

そして、この国の驚くべきところは活火山があることです。ドカンドカンと10分おき位に噴火して噴煙を噴き上げているのです。この姿は圧巻で、地球は生きていると感じさせられる光景でした。

そんな大自然を感じさせるパプアニューギニアですが、すぐお隣がアジアの国のひとつであるインドネシアであるために、南太平洋の平和な雰囲気とはやや異なる部分がありました。

インドネシアはけしてお金持ちの国ではありませんが近代化が入っている国です。産業もあり、最先端技術も導入されています。それに引き換え、パプアニューギニアはいまだに原始的な生活をしているところです。首都などは別として、離れた地域はガスも電気も水道もなく、ほぼ自給自足の生活をしているところがあります。食生活も貧しいようで、痩せている人が多く見られました。

そんな2国が一部同じ島を真ん中で区切って住んでいるのですから、おかしくならないほうが不思議といえるでしょう。貧富の差も、離れていれば気がつかないものを、真横なので見えてしまうようです。そのために、何だかほかの南の島のような、完全にのんびりした雰囲気はあまり感じられませんでした。

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ライタープロフィール

山下なおこさん/女性/年齢:30代/ニュージーランド滞在(16年以上)、自然と素朴な料理が好きな女性です。