トロピカル・タイム〜南太平洋航海記〜
ニュージーランドからヨットで南太平洋をクルージング。4年間の南太平洋航海記

ニュージーランドのサマータイム

2010/10/08

2003年 1月〜3月
さて、9月になると日本の3月のような陽気に見舞われます。さらに、10〜11月が季節の大きな変わり目で春、そして梅雨のような現象が見られます。湖や河川に近い地域では、洪水になるほどの豪雨に見舞われることもあります。

この辺りからニュージーランドのヨットの季節が始まります。厳しい冬の荒波が静まり、穏やかな気候になります。冬の間せっせと手入れをしたヨットが海に戻る時期で、スプリングシリーズなど小さなヨットレースなども開かれるのです。

同時にこの時期は赤道近くのトロピカルな島々で浮かれた日々を過ごしたヨットたちが、トロピカルストームやサイクロン、日本でいうところの台風から非難していっせいに南下してくる時でもあります。国際色豊かになるために、ニュージーランドの海やマリーナはお祭り気分で盛り上がり、一気に華やいだ雰囲気になります。

ヨットには自分の国の旗を掲げる習慣があります。義務ではありませんが、大抵のヨットが嬉しそうに自分の国の旗をはためかしています。そして、訪問国に敬意を表して、その国の旗も掲げます。つまり、外洋ヨットが外国を訪問している場合は、2つの旗がひらひらしているのです。

余談ですが、日本の人はあまり国旗に愛着がないですが(自分のおうちに国旗を掲げている人はあまりいないでしょう)、けれど、ほかの先進国のみなさんは国旗が大好きなようです。自宅に高い旗揚げ台があったり、持ち物に国旗のステッカーなんかが張りつけてあるのもよく見かけます。

冬にヨットを手に入れて、何とか整備を終えたわたしたちも、ようやく温かで穏やかなセーリングを楽しめるようになりました。とはいっても、ニュージーランドはそんなに温かくはないのですが・・・・。

ニュージーランドの夏はそれなりに温度が上がります。けれど、32度くらいが最高で、38度や40度などの灼熱地獄になることはありません。また、太陽が隠れるととたんに寒くなるのです。これは、あまりにもはっきりしていて、日本では考えられない現象です。熱くてたまらなかったのに、いったん太陽が雲に隠れると、一気に震えが来るなんてことになるのです。

そんな調子ですから熱帯夜もありません。そのため、ニュージーランドではビルやオフィスなどをのぞいて、自宅にクーラーなどの冷房器具を備えているおたくはほとんどないのです。それなりに暑くはなるけど、過ごしやすいのがニュージーランドの夏なのです。

だから、「暑くてたまらん!」なんて外出できないことはなく、大抵の人が夏は外で時間を過ごしています。裏庭のガーデンチェアでビール片手にうだうだしたり、ビーチが近くにある人は、ずっと浜にいるなんてこともよくあります。

また、ニュージーランドにはサマータイムがあって、夏の間は通常より一時間早くなります。つまり、冬の朝6時が夏の朝5時になるのです。夕方も19時が20時に。そのお陰で、夜の9時や10時まで外が明るくなります。

さて、そんな穏やかな夏の間、わたしたちは新しいヨットで新しい赤ちゃんとともに、オークランド近郊のハウラキ湾をうろうろし続けました。最初の遠出では散々な目にあったのですが、慣れてくると、いつまでも到着しない船旅もすっかり慣れてしまいました。

ペンギン、オルカ、イルカの群れになどを横目に、夜は海の中で光る蛍のような虫たちをともに、風の向くまま気の向くまま、あっちこっちの小さな島を訪れました。

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ライタープロフィール

山下なおこさん/女性/年齢:30代/ニュージーランド滞在(16年以上)、自然と素朴な料理が好きな女性です。