トロピカル・タイム〜南太平洋航海記〜
ニュージーランドからヨットで南太平洋をクルージング。4年間の南太平洋航海記

オークランドの周辺は陽気な遊び場

2010/10/04

2002年12月〜2003年1月
ニュージーランドはどこでもヨットが盛んですが、特にオークランド周辺から北にかけてがとてもよいセーリングエリアになっています。ハウラキ湾と呼ばれ、小さく美しい島が点在しているのです。長時間セーリングすることなく、日帰りでき、次の目的地にすぐにいけるので人気があります。

また、ニュージーランドは海の美しいことに目を見張ります。南の島のような遠浅で珊瑚の育つ美しさではありませんが、汚れていないという点ではすばらしい海だといえるでしょう。

長くいるとすっかり忘れてしまうのですが、日本から訪れた人は「まったくゴミがない」ことに驚かされるようです。そういえば、日本の海は濁っていたり、泡立っていたり、ゴミだらけだったりしたような・・・。

それに比べ、こっちの海は本当に何にも浮いていません。たまにヨットの脇を通り過ぎるのは流木くらい。また、ニュージーランド人の「クリーングリーン」に対する意識は強く、ゴミを発見しようものなら、ヨットを引き返しても拾いにいくようなところがあるのです。

わたしたちのヨットにはエンジンがないために、方向転換して流れていくゴミを拾い上げるのは、はっきりいってひと苦労です。そのくせ、意地でも追いかけようとするのです。「もういいじゃん」とわたしは思うのだけど、夫は諦めません。これは夫に限らず、どのニュージーランド人も同じのようで、何艘ものヨットが一斉にひとつのゴミを追いかけている姿を見たことがあります・・・。

ところで、ニュージーランドではお客さんを乗せたり、物を運搬するなど商業利用しない限り、ヨットに乗るための特別な船舶免許は必要ありません。外洋に出るためには、ヨットの安全基準をクリアする必要がありますが免許はいらないのです。すべては自分の責任というわけです。これは、長い歴史あるヨットと国民の関係から生まれた暗黙の了解なのでしょう。

免許を取るために勉強して記憶するのではなく、自己と自分のかけがえのないヨットを守るために、こっちの人は体に海の交通ルールが染みついているようです。また、いまさら免許を義務にすれば、ブーイングの嵐になるのは目に見えているので、あえて制度を変えないだけなのかもしれませんが。もちろん、きちんと学びたい人や助けが必要な人のためのコースはあり、そこで指導官に指導してもらうことはできます。

さて、ニュージーランドの近海で遊ぶのは楽しいのですが、寒くなってくるとわたしの「南の島熱」が出てしまうようです。そろそろ、温かい北へあがってみることに・・・。

関連記事
ライタープロフィール

山下なおこさん/女性/年齢:30代/ニュージーランド滞在(16年以上)、自然と素朴な料理が好きな女性です。