トロピカル・タイム〜南太平洋航海記〜
ニュージーランドからヨットで南太平洋をクルージング。4年間の南太平洋航海記

50を過ぎれば長老

2010/10/28

2003年 8〜9月
長く滞在できることになったので、バヌアツの離島に足を向けてみることにしました。

バヌアツは無数の島が寄り集まってできている国です。一応、ひとつの国ですが、その島によって独自の言葉や生活習慣を持っています。政府はあるけれど、島の長老、チーフのほうがはるかに偉いという印象もあります。

長老は皆から尊敬されて、常にお伺いを立てられる役割を果たしています。また、厳しい島では、入島の際には長老に贈り物を持って訪問し、滞在の許可を得なければなりません。この贈り物は、「カバ」と呼ばれる木の根っこで、これを粉にして水に溶かして飲むとお酒のように酔うことができます。このカバの話はまた後にするとして。

さて、南太平洋の島々ではほとんどそうですが、長老といっても実は50代がほとんどなのです。というのも、先進国の息がかかっていない南太平洋の島々の平均年齢は60歳そこそこというのが主流なのです。

つまり、60歳で天寿をまっとうするとして、50代に入れば立派な「長老」というわけです。堂々とした風格と落ち着きが感じられるために、相当なお年寄りかと思いきや、まだ55歳なんてこともあるのです。

近年の日本の平均寿命は、女性が世界一で86歳、男性はやや若く79歳ということのようです。ここまで生きると考えれば、50代なんてまだまだ若いと思ってしまうでしょう。それに、自分よりはるかに老いた人々が健在だと、長老の責任など頭をかすめるはずもありません。環境によって、人間の成長や思考はずいぶん変わるものですね。

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ライタープロフィール

山下なおこさん/女性/年齢:30代/ニュージーランド滞在(16年以上)、自然と素朴な料理が好きな女性です。