- 初めての作詞入門 中級編
- 「ツーハーフ作品の創作」「デュエット作品の創作」「男歌の書き方」「女歌の書き方」「歌詞のタメに就いて」など初めての作詞入門 中級編を紹介します。
ルビと当て字の問題
2013/03/11
私は作曲の依頼があっても、全て引き受ける事はしません。先ずは歌詞の内容をよく吟味し、作曲に値すると思った作品だけを受注します。何故ならば、将来の看板に傷を残す事になるからです。
中でも一番お断りする作品が「当て字の多い作品」です。当て字とは、漢字が持つ本来の意味とは関係なく、音や訓を当てはめた漢字と言う意味です。
作詞には、もうひとつ別な漢字を当てはめて、同じ意味に受け止めさせる当て字があります。女と書いて「ひと」、男と書いて「ひと」迷酔い酒と書いて「まよいざけ」、運命と書いて「さだめ」、男樹と書いて「おとこぎ」、艶気と書いて「いろけ」等、当て字ですが意味が通じれば良いとされています。
しかし、プロの作詞家は当て字を使いません。何故ならば、歌詞は目に訴えるものでなく、耳に訴える事が必要と考えているからです。更に、当て字を使うと作詞者としての評価が下がります。そのままでは読めない当て字を使用すると、必ずルビを振らなければなりません。
例
望郷(ふるさと)に帰っておいで
偲思い(なつかしい)山麓(やま)と海原(うみ)が待っている
親父(ちち)の強情(がんこ)な生き方と
漁船(ふね)が息子(あんた)の宝船(たからもの)
帰郷って(かえって)おいでよ望郷(ふるさと)へ
ええ!こんなワザとらしい歌詞を書く人はいないでしょう?と思うかもしれませんが、結構多いのです。
望郷をふるさととは読みません。
偲ぶと思いをつなぎ合わせた偲思いは、ルビが無ければ読めませんし、辞書にもありません。
親父はおやじでちちではありません。
強情をがんこと読ませるのならば、頑固で充分です。
宝船をたからものと読ませるのは、無理がありすぎます。
帰郷って(かえって)は、私のプライドが許しません。
ルビを全て消してしまうと
望郷に帰っておいで
偲思い山麓と海原が待っている
親父の強情な生き方と
漁船が息子の宝船
帰郷っておいでよ望郷へ
どうでしょうか?私がお断りする理由が判って頂けたでしょうか。趣味でCDを少数枚作る場合でも、歌詞カードのルビは省力される場合があります。
まあ、基本的に当て字は使わない方が無難だと思います。
当て字を使わなければ、
故里に帰っておいで
懐かしい山と海が待っている
頑固な親父の生き方と
船があんたの宝物
帰っておいでよ故里へ 故里へ
ルビを使用しないほうがスッキリして、気持ちが伝わりやすくなります♪
森田一夫音楽クリニック
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Jack天野/男性/年齢:50代/セブ島在住/13歳より横須賀の将校クラブでドラマーデビュー、20歳でハモンドオルガン奏者、その後ピアノの弾き語りとしてファイアットリージェンシーと契約し東南アジア各国のホテルロービーピアニストを務めました。ちょっとマイナーな部分も含めて、楽しい記事を書きたいと思います。宜しくお願いします。