- 初めての作詞入門 中級編
- 「ツーハーフ作品の創作」「デュエット作品の創作」「男歌の書き方」「女歌の書き方」「歌詞のタメに就いて」など初めての作詞入門 中級編を紹介します。
声を張り伸ばす歌詞の注意点
2013/02/28
歌詞には、声を長く伸ばして訴求する部分があります。主にサビや各番手の語尾に集中します。詞が作曲されて歌詞になるには、声を張り伸ばす訴求部分に注意が必要です。
歌で声を張り伸ばす部分は、サビが一番気になります。
例
白い鴎を染め抜いた
暖簾よお前も寂しかろ
「酔って潰れた私の肩に
そっと上着をかけるから
あんたの情けが情けが沁みた」
酔いどれ女の港唄
「 」部分がサビの上りと下りになりますが、
「あんたの情けが情けが沁みた」を分析してみます。
「あんたのなさけがしみついた」に母音を付け加えると
「♪あアんたアのオ なアさアけエがア しイみイつウいイたア♪」になります。
張り上げて伸ばす声は母音になるのです。
母音だけを抽出すると「アアオアアエオイイウイア」になります。
仮にですが「あなたが 山坂 坂上がりゃ」とした場合、母音は「アアアアアアアアアアアアア」となってしまいます。
ははは、こんな詞を書く人はいないでしょうが、私は注意しています。
また、4拍とか8拍を伸ばす場合は「アイウエオ」の中で「アオ」が一番良く響きます。中には「ン」など口を閉じた母音を使う作詞家もいますが、声が篭って伸びがありません。「いけません」「とどきません」「新幹線」「東北線」も同じです。
また、ハ行は発音と発声の性質上、他の子音や母音よりも息を多く吐いてしまいます。さらに、歯列音や破裂音などもあり、マイクで歌う時にノイズを発生する子音もあります。
早口言葉のようにロレツが回らない言葉の繋がりにも、注意しなければなりません。
昔の話ですが、レコーディングの収録で歌手が同じ場所を何度もミスするのです。作詞家は、「発音が悪い!歌詞がわかりにくい!聞き苦しい!」と怒鳴っています。私は編曲を担当していただけですが、作詞家に注意を促しました。
「先生、編曲して何度も歌いましたが、歌い難い箇所がありました。」
「いま、歌手がミスを繰り返している部分と同じです。」
「先生ならば、歌手のために敢えて修正するのに時間は掛からないでしょう。」
「可愛い弟子の為にも、今回だけ歌いやすく修正してやって頂けないでしょうか?」
「う〜ん・・あんたがそこまで頭を下げるのなら今回だけだぞ!」と1分で書き直しました。多分、作詞家も判っていたのですね。
詞は作曲されて歌詞になり、編曲され歌手に歌われて広まります。最終的には、歌う事で聴衆に届く歌詞でなければなりません。
作詞は言葉を操るだけでなく、発音と発声についても知識が必要になります。
森田一夫音楽クリニック
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Jack天野/男性/年齢:50代/セブ島在住/13歳より横須賀の将校クラブでドラマーデビュー、20歳でハモンドオルガン奏者、その後ピアノの弾き語りとしてファイアットリージェンシーと契約し東南アジア各国のホテルロービーピアニストを務めました。ちょっとマイナーな部分も含めて、楽しい記事を書きたいと思います。宜しくお願いします。