初めての作詞入門 中級編
「ツーハーフ作品の創作」「デュエット作品の創作」「男歌の書き方」「女歌の書き方」「歌詞のタメに就いて」など初めての作詞入門 中級編を紹介します。

男歌の書き方

2013/02/24

作詞には、男歌と女歌があります。男歌を歌うのは男性だけでなく、女性歌手の中にも沢山います。女歌は男性も女性も多いのですが、男性歌手と女性歌手では若干の違いがあります。

男歌が得意な男性作詞家の仕事現場を訪れた事があります。博多からバスで6時間程行った「原鶴温泉」に住んでいる作詞家でした。

バス停を降りて自宅を探しましたが見つからず、通行人に訊ねたら斜め前のクラブを指しました。温泉街でクラブを営業し奥に自宅がありました。

玄関から応接間に案内されると、大きな牛の角や象牙、そして兜、鎧、刀剣が目に飛び込んできます。作詞家は角刈りの頭に着流しで、昭和のやくざ映画に出てくるようなイメージです。しかし、人柄は非常に温厚で、にこやかに私を向い入れてくれました。

楽譜を見せられて「この曲弾いて歌ってくれ」と行き成り言います。私は持参したギターを弾きながら歌いました。

♪男命を飲み干す酒は 
四分と六分の義兄弟
親も捨てれば女房も捨てる
渡る世間は任侠一途
馬鹿じゃなれない利口もなれぬ
中途半端は尚なれぬ♪

ははは・・もう何十年も前の話ですが、インパクトが強烈だったのでしっかり覚えています。男歌といえば、漁師唄のイメージがあり、男船や大漁祝い節、男の祭り等と思っていました。

この作詞家は、北九州の大御所と呼ばれる歌手と親交があり、任侠物を専門に書いています。私は作曲で呼ばれましたが、任侠の世界に縁が無く3日で失礼させて頂きました。

博多に戻って知り合いに話したら大笑いされて、「あははは・・あの作詞家は九州でも有名な親分さんだよ!知らないで行ったのか?」ブツブツ、知ってたら初めから断っています。

男歌は気持ちを強くして信念を持ち、自分自身を信じる気迫が必要だと感じました。

男歌を書く女性作詞家の家にお邪魔した事があります。普段は自宅に居らず、旅回りの女座長をしている作詞家です。何となくくすんだ空気を感じる北九州の自宅を訪れると、弟子が案内してくれました。作詞家は、頭を短くし化粧は無し、しかも男物のジャージを着ています。話し言葉も態度も、まったく男そのものです。

この女性作詞家は座長をしている事で、股旅物の作詞が多かった記憶があります。男の心情を書いた詩も見せてくれましたが、女性から見た理想の男性像を表現しています。

男歌は男女に関係なく、硬派な生き様を書き上げる気迫が必要なのです。う〜ん!私は、軟弱といわれても女歌の詞が好きです。


森田一夫音楽クリニック
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ライタープロフィール

Jack天野/男性/年齢:50代/セブ島在住/13歳より横須賀の将校クラブでドラマーデビュー、20歳でハモンドオルガン奏者、その後ピアノの弾き語りとしてファイアットリージェンシーと契約し東南アジア各国のホテルロービーピアニストを務めました。ちょっとマイナーな部分も含めて、楽しい記事を書きたいと思います。宜しくお願いします。