フィリピンの葬儀に参加した
葬儀について、葬儀準備、通夜、納骨と散骨、フィリピンでの日本人の葬儀、などフィリピンでの葬儀についてを紹介します。

フィリピンは墓地まで大行進

2013/10/23

フィリピンは葬儀代をギャンブルで工面し、費用が溜まったら墓場で遺体を荼毘にふします。亡くなられた大家さんの家族は1週間ギャンブルを開催、葬儀代を全て賄う事が出来ました。墓地に向かうのは、学校や職場が休みになる土曜日の午後と決まりました。遠くの親族は前日から泊りがけで来ています。大家さんの家も1DKなので、床一面にクッションを敷いて雑魚寝です。しかも、キッチンテーブルの下までマットを敷いていました。

翌日10時頃から、参列者に配るお菓子とジュースを袋詰めにしていきます。お菓子はパックに入った物を小分けし、5種類くらい入っていましたが1袋20ペソです。味よりも安くて大きいスナックを中心に選んだようです。ジュースはヤカンにお湯を沸かし、マンゴーの粉末ジュースをそのまま入れます。安いブラウンシュガーを沢山いれるので、茶色いマンゴージュースになります。細長いチューブ状のビニール袋にジュースを入れ、先を縛って冷凍庫に放り込みます。

1時前に神父とシスターが遣ってきて、賛美歌を歌いながら道路まで進みます。道路にはアメリカ式の霊柩車が止まっています。棺桶を霊柩車に収めたら墓地まで大行進が始まります。先頭に霊柩車、次に親族、そして親戚、友人、知人、集落の住民と続きます。賛美歌を歌いながら道路をゆっくり歩く行進ですが、誰一人クラクションを鳴らしません。途中で道路が混んでくると警官が自主的に交通整理をはじめます。決して葬儀の列を車が追い越す事は許さず、アッという間に通り過ぎる道も30分掛かります。フィリピンの一車線道路で進行方向に葬儀の列がいたら、半分諦めるかUターンしてください。

炎天下の中墓地まで1時間程の行進になりましたが、やっと到着します。墓地に着くと参列者にお菓子とジュースを配り、受け取った人は帰っていきます。墓地の周囲には、まったく関係の無い子供たちが葬儀を待ち構えており、ドサクサにまぎれてお菓子とジュースだけ頂戴しています。

フィリピンで一番安いお墓は、コンクリート作りの四角いボックスタイプで、5段6段に積み重なり塀のようになっています。価格は3000ペソからと言っていました。一般の富裕層は3畳ほどのオープンスペースに、タイル張りで大きなベットタイプの墓石に棺桶ごと埋葬します。生前の顔写真がタイルに焼き付けられた綺麗なお墓で日本にはありません。20万ペソ以上。最もリッチな一族は華僑ですが、1戸建ての1DKでクーラー照明付き、1年中墓守がいる豪華なお墓です。値段はあきれると思い聞きませんでした。

大家さん家族は、一番安いお墓も買う事ができず火葬場で遺体を荼毘にふします。そのために参列者を墓地の入り口で帰したのです。プライドなのでしょうかねえ・・大家さんは小さな骨壷に入って自宅に帰りつきました。続く・・・

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ライタープロフィール

Jack天野/男性/年齢:50代/セブ島在住/13歳より横須賀の将校クラブでドラマーデビュー、20歳でハモンドオルガン奏者、その後ピアノの弾き語りとしてファイアットリージェンシーと契約し東南アジア各国のホテルロービーピアニストを務めました。ちょっとマイナーな部分も含めて、楽しい記事を書きたいと思います。宜しくお願いします。