フィリピンの葬儀に参加した
葬儀について、葬儀準備、通夜、納骨と散骨、フィリピンでの日本人の葬儀、などフィリピンでの葬儀についてを紹介します。

フィリピンの家主が体調不良

2013/10/08

私が初めてアパートを下見にきた時、大家さんは腰に山刀を差し裸足で歩いていました。身体は痩せていましたが元気がよく、目つきも鋭く、活力に満ちています。

「1DKのアパートを幾らで貸すか?」と聞いたら、月に5000ペソと言います。相場よりかなり高いので、3000ペソというと「NO NO NO」と首を横に振り3500ペソと言い直しました。私は即座にOKサインを出し、その場で前家賃と保証金、合わせて7000ペソを払いました。

次の日に引越しをはじめ、夕方までに荷物が整理でき、引越し祝いをしました。鳥の丸焼き3羽とビール1ケースで、3000円も掛かりません。近所から親戚連中がやってきて酒盛りとなり、僅か1時間程で全てなくなりました。

翌日、門の前のコンクリートが狭く、愛車の四輪バギーが通りにくいので拡張するよう言いました。大家は、セメント3サック、砂3サックが必要で、2日分の大工代2人分合わせて3000ペソと言います。まあ、安いもんだなあと思い、お金を先払いしました。

更に翌日、朝から2人の大工がセメントをこねています。門の内側にある大家のオープンキッチンを初めにコンクリートで整地し、次に門の正面をコンクリートで整地します。初日は大家のキッチンだけで終了し、肝心な門の正面は明日になりました。しかし、2日たっても、3日たっても一向に作業する気配がありません。大家の家に行き、「門の正面のコンクリはどうした?」と聞いたら、「工事するお金が足りない」と言います。

私は領収書を全て見せるように指示し、計算するとコンクリ+砂各3サックで800ペソです。「まだ、2200ペソ残っているじゃないか!」と問いただすと、「一番初めの日に大工や皆に食事とビールを出したから全部無くなった」とまるで子供です。私は頭にカッと血が上り「2200ペソ直ぐに返せ!」と怒鳴りつけました。

しばらくして家主が玄関に立っています。ポケットからシワクチャになったお札を取り出し、1400ペソを返します。「後の800ペソは!と言うと「大工の日当が2人分2日で800ペソ」と言います。あっそ!とため息をつき、怒る気力も失せて、「1日しか働いていないから800ペソだよね」と言ったら渋々ポケットから出しました。

こんな図太い根性をした大家が、或る日フェンスの前にずっと立っています。気になりフェンスに行き「なにやってんだ?」と聞くと「体が動かない?」と言います。家族を呼びフェンスを開けると、足を10センチずつ引きずるように歩いていきます。首が小さく振るえ、体のバランスがまったく取れません。私は、直感で脳梗塞か脳血栓じゃないかと思いました。「直ぐに救急車を呼びなさい!」と言いましたが「お金が無い」と言い家に篭ってしまいます。

強欲で元気だった大家が、喧嘩した数週間後に倒れたのです。なんとも後味が悪く、この後3ヶ月に渡り大家の家族をサポートする事になります。続く・・・

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ライタープロフィール

Jack天野/男性/年齢:50代/セブ島在住/13歳より横須賀の将校クラブでドラマーデビュー、20歳でハモンドオルガン奏者、その後ピアノの弾き語りとしてファイアットリージェンシーと契約し東南アジア各国のホテルロービーピアニストを務めました。ちょっとマイナーな部分も含めて、楽しい記事を書きたいと思います。宜しくお願いします。