フィリピンの葬儀に参加した
葬儀について、葬儀準備、通夜、納骨と散骨、フィリピンでの日本人の葬儀、などフィリピンでの葬儀についてを紹介します。

フィリピンの通夜

2013/10/18

アパートの大家さんの病気は脳腫瘍と判りましたが、手術代の工面がつかず自宅静養する事になり、2ヶ月半が過ぎました。一時はシキホール島のヒーリング治療で回復しましたが、ここ1週間ほど姿をみません。ショッピングから帰ると、大学に通う息子と小学校の息子が壁に寄りかかっています。悲しそうな顔を見て、大家さんが亡くなったことを察知しました。

日本では亡くなった当日が通夜になりますが、大家さんの自宅は静まり返っていました。フィリピンでは、亡くなった日に遺体を洗い髪とヒゲを整え着替えをさせます。今でも遺体に寄り添い一夜を共に過ごす風習があります。

翌日の午後から親族や集落の人達が大勢集まってきました。小さな庭にテーブルが4個、アパートの通路に椅子が50脚ほど並んでいます。遺体は棺桶に安置されガラス越しに遺影を見る事ができ、匂いの強い花で飾られています。神父さんとシスターがやってくると、全員起立して一緒にお祈りを唱えます。神父さんの祈りの後に、皆がアーメンと祈るだけで、私も一緒に冥福を祈りました。そして、シスターと一緒に賛美歌を皆で歌います。神父さんの祈りが30分、シスターの賛美歌が30分、計1時間のセレモニーでした。

大家さんの奥さんと息子達が暗い顔をしています。「どうしたのか?」と聞くと、「参列者に食事と飲み物を提供するお金が無い」といいます。テーブルの上にありったけの小銭を集めて計算しても300ペソ(600円)しかありません。仕方が無いので、ショッピングモールにでかけました。バーべキュー用の牛肉10キロ、竹串200本、椰子殻炭4袋、紙コップと皿10枚分、お米5キロを買ってきました。さらにビール2ケース、ラム酒1ケース、コーラ1ケース 合計6000ペソの香典になりました。

1年に2回ほどしか使用しないバーベキューセットを取り出し、家族総出で来客をもてなしました。しかし、バーベキューも飯も30分で全てなくなり、お腹が一杯になった人は帰っていきます。「100人分買ってきたのにもう無くなったのか?」と聞いたら、自宅にいる家族へ持って帰る人が多かったそうです。残ったのは振る舞い酒を目当てに集まった男達だけで、かなり酔っ払っています。ビールとラム酒がなくなると、私の自宅に来て「Jack!ワンモア・ワンモア」といいます。私の我慢の限度もここまで「OK!プリーズマネー」といったら、帰っていきました。

喪主の奥さんに聞いたら、親族は20名くらいで後は関係ない人達といっていました。な〜るほど上半身裸で裸足、しかも大家さんに別れの挨拶もしませんでしたから、食事と酒が目当てだったんですねえ・・少し、メンタルチックになりました。続く・・・

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ライタープロフィール

Jack天野/男性/年齢:50代/セブ島在住/13歳より横須賀の将校クラブでドラマーデビュー、20歳でハモンドオルガン奏者、その後ピアノの弾き語りとしてファイアットリージェンシーと契約し東南アジア各国のホテルロービーピアニストを務めました。ちょっとマイナーな部分も含めて、楽しい記事を書きたいと思います。宜しくお願いします。