フィリピンの葬儀に参加した
葬儀について、葬儀準備、通夜、納骨と散骨、フィリピンでの日本人の葬儀、などフィリピンでの葬儀についてを紹介します。

フィリピンは手術しない

2013/10/10

私が借りてるアパートの大家さんが倒れた翌日、パブリックの医師が診察にやってきました。検診の結果、脳腫瘍だそうですが、聴診器と脈を測るナースだけで判るのかなあ・・・?パブリックは無料ですが設備が無いので、大学病院の精密検査を受けるよう指示しています。

しかし、家族は大学病院に大家さんを連れて行きません?検査費、手術費、薬代、入院代、合わせて60万ペソ(120万円)掛かるそうです。更に、専属の医者と看護婦が付くので、長引けば100万ペソでも足りません。

元々フィリピンは宵越しの金は持たない、どうにかなるさの精神ですから蓄えなどありません。毎朝教会から神父とシスターが遣ってきて、賛美歌を歌い神父が祈りを捧げます。神父とシスターの訪問は大家さんが亡くなる直前まで続き、葬儀と葬儀後も続きます。後から判った話ですが、ほとんどの教会が墓地を運営し、葬儀一式を取り扱っているのです。

親族たちに混じって借金取りも遣ってきます。大家はアパートを建てるのに途中で資金が足りなくなり、5To6という金貸しから親族を保証人にして建築資金を調達しています。5To6とは、50万ペソ借りると1ヶ月後に60万ペソ返済する高利貸しです。保証人になっている親族は、寝たきりになった大家の前で罵声を上げています。結局、隣の敷地300平米と借金を相殺して貰ったそうです。

人間の嫌な面を見てしまった感じがして気分が悪くなりますが、賛美歌が清めてくれます。伴奏はギターとカホンという打楽器です。カホンは四角いボックス型の椅子に丸い穴をあけたドラムのような楽器です。ギターとビートの利いたリズム、美しいハーモニーの賛美歌がミスマッチですが気にしません。

神父は手にロウソクを持ち、大家さんの枕元で祈りを捧げます。大家さんは過去に犯した過ちを神父に懺悔し、心を浄化させます。災いが家族に及ばないよう、室内や屋外を回りながら邪気を払い清めてくれるのです。続く・・・

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ライタープロフィール

Jack天野/男性/年齢:50代/セブ島在住/13歳より横須賀の将校クラブでドラマーデビュー、20歳でハモンドオルガン奏者、その後ピアノの弾き語りとしてファイアットリージェンシーと契約し東南アジア各国のホテルロービーピアニストを務めました。ちょっとマイナーな部分も含めて、楽しい記事を書きたいと思います。宜しくお願いします。