東京都大田区ってどんなところ?
「世界一美味しいビビンバ」「小さな中華街」「有名スポット池上本門寺」「銭湯の街」「焼き鯖すし」など大田区の魅力を紹介します。

大人の雰囲気で串焼きを味わう「克己」

2020/007/30

大田区蒲田には居酒屋さんや立ち飲み屋さんと言った、いわゆる飲み屋さんがたくさんある街。夜の賑やかさはなかなかのもので、例えば終電を逃して「朝まで行っちゃおう!」となった時にもお店に困らない街です。多くは大衆的な居酒屋さんやスナック、バーなどで、都会的なおしゃれなお店というよりは、気軽に安く飲めるお店が多い印象です。私が行っていたお店がそういうお店なだけだった可能性ももちろん否定できませんが、街の雰囲気を考えるとその印象も頷けると思います。そんな蒲田にあって、他のお店の雰囲気とは一線を画すお店が串焼き居酒屋「克己」です。

「克己」はJR蒲田駅から徒歩5分ほどの裏路地にある小さなお店。分類分けすると串焼き居酒屋ということになるのでしょうが、そのお店の佇まいはさながらおしゃれなダイニングバーといった感じ。私が蒲田に住んでいた時に新しくオープンしたという記憶があるので、かれこれ15年ほど営業しているお店です。外観は黒を基調としたシックな雰囲気で、最初に会社の先輩に連れられて行った時はその大人っぽさにドキドキしたものです。当時の私は弱冠20歳。お酒の味も覚えたばかりの頃でした。

「克己」の自慢はやはり串焼き。鶏だけでなく牛タン串や海老、野菜串など色々な串焼きが楽しめます。さらに一品料理も美味しいものばかり。何を隠そう私はこのお店で初めて、鶏肉のお刺身というものを食べました。まず当時は鶏肉が生で食べられるということも知らなかった私。先輩が注文するのを聞いて耳を疑いました。いざ運ばれてくると、表面だけ熱が入った白い縁取りの中に生の鶏肉のピンク色の身がとても綺麗。初めて口に入れると、魚のお刺身のような、でもお肉特有の弾力がしっかりと感じられる不思議な食感です。臭みなど一切なく、淡白なささみなのに味が濃厚でとても美味しいものでした。

お店の中も少し暗めのライティングで「しっぽり」という言葉がぴったり。当時の私はいつも行っているようなお店の雰囲気との違いにソワソワするばかりでしたが、何度か行くに連れそういう大人の雰囲気にも慣れていきました。私にとって「克己」は、大人の階段を一段上がったような思い出のお店です。

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ライタープロフィール

李内(りうち)さん/女性/年齢:30代/町田市在住/愛知県生まれ。夫と愛犬の3人暮らしのごくごく普通の主婦。仕事はサービス業。趣味は読書、料理、仕事。犬が大好きで愛犬と過ごす時間が何よりの幸せです。