歴女の歴史を楽しむ旅
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北海道/高貴な血はなぜ青い〜函館・碧血碑周辺で〜

2010/05/08

明治2年、明治天皇の命により、「殉国者」の霊を慰めるべく、招魂社(現・靖国神社)が建立されました。殉国者とは、「お国のために命を捧げた人」という意味でしょう。戊辰戦争の「官軍」の戦没者の霊を合祀したのを始め、暗殺された坂本龍馬らの「志士」も、日清・日露戦争や太平洋戦争の戦没者もまつられています。もちろん、新選組などの「賊」にはそんな待遇はありません。

箱館戦争で、幕府脱走軍(賊軍)の戦没者の遺体を手厚く埋葬した地元の侠客・柳川熊吉らは、明治8年、それらの遺骨を改葬し、土方歳三、甲賀源吾ら脱走軍の死者をまつる「碧血碑」を現在の函館市谷地頭町に建てました。ただし建立者の名前も、碧血碑という文字を揮毫した人の名前も刻まれてはいません(脱走軍の陸軍奉行だった大鳥圭介筆?)。賊に対する、当時の世情がしのばれます。

碧血とは、「義に殉じて倒れたつわもの血は、3年たつと碧になる」という中国の故事にちなむぬそうです。碧は、青い玉(ぎょく――美しい石)。

そこで唐突に思い出したのですが、西洋にも「ブルーブラッド」という言葉がありました。「青い血=高貴な血筋」です。なぜか西洋でも、高貴な人の血は青いという発想があったのですね。この語源は、一説に、西洋の王侯貴族は、有色人種を血統に入れず、肌の色が白くて、静脈が青く見えるからともいわれますが、定説はないようです。

箱館戦争の新政府軍(官軍)方の戦没者のお墓は、青柳町の護国神社の裏手にあります。護国神社は旧・招魂場で、靖国神社同様「お国のために」の霊をおまつりしているのですが(坂本龍馬のお墓があるのも、京都の護国神社です)、この函館の護国神社は今「縁結びのご利益がある」ことでも知られています。

箱館新選組の足跡を訪ねて、ここに立ち寄り、「来世で土方歳三様と結ばれますように」と願をかける女性の姿が――というのは、あくまでも私の想像です。

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ライタープロフィール

オオタクーミンさん/女性/東京在住、もしかして「鉄子」と「歴女」のさきがけだったのかも知れない、ぎりぎりアラフォー世代のライターです。小さいころから、愛読書の1つが時刻表で、プライベートの国内旅行には、たとえ北海道を旅するのにも、飛行機を使うなんてことは、はじめから考えない、まったく日航を応援してない日本人です。