フランス面白話
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フランス/女どうしの争いを見つめてきた華麗なシャトウ〜ロワール河流域で

2010/08/15

パリのオーステルリッツ駅から、約2時間。ロワール河沿いのいくつかの城を訪ねます。

16世紀の中ごろ、アンリ2世はロワール河の支流をまたぐ、ひときわ美しい「シュノンソー城」を、愛人ディアーヌ・ド・ポアチエに与えました。

ディアーヌはアンリより20歳も年上で、しかし美貌も国王の寵愛も衰えることなく、嫉妬に狂った王妃カトリーヌ・ド・メディシスは、夫が愛人とベッドを共にする部屋に、ひそかに「のぞき穴」をつくらせたとか。そして、彼女は夫を強くののしるようになりました。「あなたは、どうして、私のときには……」と。後に、「サンバルテルミーの大虐殺」(プロテスタントを、あるいは、そうでなかった者もことごとく血祭にあげた)を起こした王妃です(ところが、この国王夫妻も、サン・ドニ大聖堂はむつまじそうに、しかも巨大なお墓に眠っています)。

このアンリ2世の王宮に仕え、この王家の悲劇的な未来を正確に読みあてたという占い師が、あのノストラダムス。ノストラダムス=ノートル・ダム=聖母マリアという、その名前からして、いかにも神がかりなのですが。

ノストラダムスの予言どおり、馬上槍試合でアンリ2世がこの世を去ると、カトリーヌはディアーヌからこの城を取り上げて、代わりに「ショーモン城」(この城も十分美しいのですが)を与えたという、美しさの裏側ではそんなドロドロした愛憎劇が繰り広げられていた場所です。

美しい――といっても、どの城館も、現代の我々から見れば、やや装飾華美か。どこかで見たことがあるような気もします。そうそう、ラブホとマンションのデザインには、かなりのヒントを与えてきたはずです。そういえば、これらの城はすべて「シャトウ」ですから。

ゴシック好きなら、「ブロア城」や「アンボワーズ城」などは、1日見ても見飽きない城でしょう。レオナルド・ダ・ヴィンチは、パトロンだったフランソワ1世に招かれ、「クロ・リュッセ城」で没。「アンボワーズ城」にお墓があります。「シノン城」には、ジャンヌ・ダルクの博物館も。

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ライタープロフィール

オオタクーミンさん/女性/東京在住、もしかして「鉄子」と「歴女」のさきがけだったのかも知れない、ぎりぎりアラフォー世代のライターです。小さいころから、愛読書の1つが時刻表で、プライベートの国内旅行には、たとえ北海道を旅するのにも、飛行機を使うなんてことは、はじめから考えない、まったく日航を応援してない日本人です。