フランス面白話
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フランス/王妃マリー・アントワネットのおもかげ〜サン・ドニ大聖堂の霊廟で

2010/07/29

フランス歴代の王さまのお墓は、モンマルトルの北、サン・ドニの聖堂にあります。一般的な観光コースからはやや離れているので(パリ中心部から地下鉄で約1時間)、あまり観光客で混雑することもなく、いかにも霊廟らしい、縁起がいいとはいえないふんいきにひたれます。そして、ここにルイ16世とマリー・アントワネットも眠っています――といえるかどうかは、わかりません。

ギロチンで処刑された遺体は、革命のどさくさで、共同墓地に投げ込まれたのです。王政復古がなってから、「このあたりだろう」と掘り返し、男性のものらしい遺骨の一部と、女性用のガーターベルトを見つけて、ここに葬ったとされています。

いつだったか、日本の「霊能者」が、ここでアントワネットと「交信する」というテレビの企画がありました。遺体もないはずのこの地下から死者の声が聞えたというのですから、ある意味、スゴイ霊能者ではありました。

ここには、ルイ16世とアントワネットの彫像もあり、生前仲のよかった夫婦のようにならんでいます。アントワネットはともかく、ルイのほうはスマートすぎるのではないかと思われますが。

アントワネットの肖像画を見ると、その威勢よく盛り上げた髪型は、少し前に話題になった「アゲ嬢」をしのぎます。そこに花やらリボンやら羽根飾りやらを盛りつけて、果てはホンモノの鳥カゴを乗せたり、軍艦の模型をつけたりで、盛りすぎて馬車に乗れなかったという、困った人です。

しかし、革命が勃発して、恋人・フェルゼンの手引きでヴァレンヌに逃亡(特注馬車に、コックや美容師まで連れていたという大世帯)で見つかり、パリに引き戻されたとき、アントワネットの自慢の髪は1日で真っ白になっていたとか。

このドラマチックなシーンも、「もともと白髪になっていて、場合が場合だけに、毛染めができなくなったからか、カツラをなくしたから」というのが、リアリストの見解です。享年38歳。今の世であれば、女盛りというところでしょう。

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ライタープロフィール

オオタクーミンさん/女性/東京在住、もしかして「鉄子」と「歴女」のさきがけだったのかも知れない、ぎりぎりアラフォー世代のライターです。小さいころから、愛読書の1つが時刻表で、プライベートの国内旅行には、たとえ北海道を旅するのにも、飛行機を使うなんてことは、はじめから考えない、まったく日航を応援してない日本人です。