フランス面白話
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フランス/公共のルールやマナーを守るということとは〜パリの地下鉄で

2010/08/02

パリの地下鉄(メトロ)の自動改札は、もちろん、切符を持たずにバーを乗りこえてはいけません。「その場合は、罰金〇〇」なんて表示もあります。しかし、切符を入れても、バーが開かないことがあります。どうするか。無賃乗車ではなく、自動改札機の故障です。日本であれば、駅員さんを呼びますね。しかし、元気なにいちゃんたちには、バーを乗りこえるという選択肢もあります。

それで地下鉄に乗れたとして、切符を持たず、あるいは「乗車した」という記録のない切符で、降車駅の自動改札はどのように脱出するのでしょう。再び、バーを乗りこえます。何度か目撃しましたが、捕まったり、罰金を払ってる人を見たことはありません。

しかし、そんな彼らでも、地下鉄の中で、他人と肩がふれたり、通路を開けてほしいときは、必ず「エクセキュゼ・モア」「パルドン」と声をかけます。黙ってグイグイ押すようなマネはだれもしません。ドアの前にたむろったり、荷物を置いたりもしない。席があけば、若い者も座ります。地下鉄の車輛は狭いので、スペースの有効活用というわけです。もちろん、老婦人などが通りかかれば、寝たふりをせずに席を立ちます。

赤ん坊を連れた若夫婦は、忙しそうです。子どもがむずかりかけたら、あれこれとオモチャを出して見せたり、百面相をして見せたり、なんとか泣かせまいと必死の努力を続けます。何か食べている若者はいますが、化粧を始める女性はいないようです。

車内アナウンスなどは、めったにありません。パリの地下鉄は、少なくとも東京の地下鉄より、だいぶ居心地がいい(足が浮いてしまうような混雑もないので)乗り物です。

ただし、改札口を出ると、切符がそのへんに投げ捨ててあったり、ゴミが散らばっていたり。犬のフンなどは、「パリ名物」といってもいいでしょう。

横断歩道は、クルマが通らなければ、信号でも当然のように渡ります。しかし、スーパーなどの入口のドアは、自分が通った後も、必ず次の人が通れるように、支えています。相手が赤の他人でも、バタン!と手を放したりはしません。レジでは、おばあさんが店員と何やら長々と話をしています。後ろの客は、みんな辛抱強く待っています。

女性ドライバーのタクシーに乗れば、助手席には「護身用」とおぼしき中型犬が。

守るべき公共のルール、マナーの基準が、日本とは微妙に違っていて、もちらん、どちらがいいというわけではないけれど。

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ライタープロフィール

オオタクーミンさん/女性/東京在住、もしかして「鉄子」と「歴女」のさきがけだったのかも知れない、ぎりぎりアラフォー世代のライターです。小さいころから、愛読書の1つが時刻表で、プライベートの国内旅行には、たとえ北海道を旅するのにも、飛行機を使うなんてことは、はじめから考えない、まったく日航を応援してない日本人です。