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フランス/数千円が数百万!〜クリニャンクールのノミの市で
2010/08/07
何年か前までNHKのアナログBSで放送されていたイギリス・BBCの『アンティーク・ロードショー』は、『なんでも鑑定団』のモデルだったのかどうか。その土地、土地のシロウトが自慢の一品を持って集まり、専門家が「これは、ホンモノ」「できの悪いニセモノ」などと鑑定して、値踏みして見せるという趣向です。そのある回に、「父が昔、パリのノミの市で買ってきた油絵」がありました。「中国の文字が書いてあるみたいだけど、読めないし」。その「中国の文字」は、実は日本人画家のサインで、「藤田嗣治」。
どっひゃー! おそらく数千円で買った絵が、数百万円。これを「掘り出し物」というのでしょう。
フジタは無理でも、何かお宝はないかと、パリに出かけるたびに、一度はノミの市に繰り出します。場所はクリニャンクール(地下鉄のポルト・ド・クリニャンクール駅下車。土・日・月曜開催)。出店の数は、1000軒やそこらは軽く超えているようで、ここにありとあらゆるものがあります。ヴィンテージではない、ただの古い下着から、ホンモノなら国宝級ではというアンティーク家具まで、小話にある「頼朝公3歳のころのしゃれこうべ」があっても驚きません。おそらく、ヨーロッパでも最大級のマーケットです。
もちろん、高価なものは手が出ないし、かさばるもの、重いものもあきらめる――となると、ジャンキーなアクセサリーか、せいぜいワイングラス、衣料品といったところ。しかし、値切るのには、言葉はいりません。「もう少し安くならないの?」の日本語に、身ぶり手ぶりで通じます。で、数字は電卓、あるいはメモ書きで交渉です。
売っているのはプロの古物商なので、「中国の文字だから読めなくて」などということもなく、残念ながら、お宝にはまだ出会えません。
たがいにカタコトの英語でやりとりしつつ、「ここでは、スリと置き引きに注意しなければ」と、私がストールを買った古物商のマダムは、トートバッグの口が開かないように、「おまけ」のスカーフを結んでくれました。
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オオタクーミンさん/女性/東京在住、もしかして「鉄子」と「歴女」のさきがけだったのかも知れない、ぎりぎりアラフォー世代のライターです。小さいころから、愛読書の1つが時刻表で、プライベートの国内旅行には、たとえ北海道を旅するのにも、飛行機を使うなんてことは、はじめから考えない、まったく日航を応援してない日本人です。