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フランス/お姫さまのスカートがふくらんでるわけ〜ヴェルサイユ宮殿で〜
2010/06/06
ヴェルサイユ宮殿に行こうと思うと、ちょっと悩みます。パリから観光バスで(日本語のガイド付きもあります)行くべきか、サン・ラザール駅から電車に乗って、単独で行くべきか。ガイド付きでないと、入れない部屋(「王妃の寝室」とか)が設定されていることがあるし、しかし、見学時間が制限されたツアーでは、トリアノンには行けない……。
トリアノンには、ルイ16世の王妃マリー・アントワネットがつくらせた離宮があります。離宮といっても、「農村」をまるごとつくってしまったようなシロモノで、彼女はここで「田園生活ごっこ」を楽しんだのです。市民が食うや食わずのときに何やってんだか――。
でも、ヴェルサイユ宮殿のあの絢爛豪華な中で暮らしていたら、「そりゃ、も少し居心地のいいところで、一息つきたくもなるわな」と同情します。
このトリアノンの夕暮れどきに、18世紀の身なりをした人たちに出会った観光客がいました。「革命がらみのショーでもやっているのかな」と思ったらと、スーッと消えた。フランスにも、イギリスほどではないけれど、幽霊は住んでいるようです。
ところで、「ヴェルサイユ宮殿にはトイレがない」というのは、ほとんど伝説となっています。たしかに、チケット売り場のそばに、観光客用のトイレが設置されていただけで、宮殿内部にトイレがあるのかどうか……。
フランスに個室の「トイレ」ができたのは、19世紀になってからだといわれます。それまでは、今の日本でいう「簡易トイレ」か、おまる。外でもよおした場合は、建物や木立の陰、あるいは繁みの中などで用を足していたはずです。ゆえに、マリー・アントワネットのドレスのように、女性のスカートは大きくふくらます必要があったのだと、その方面にくわしい方がおっしゃいます。
当時の宮殿の庭は、ほかに寝るところのない人たちの「すみか」にもなっていたそうで、汚物や汚水なんぞがそこここに……。お姫さまがお庭で彼と密会するシーンも、少女マンガや宝塚歌劇のように、ロマンチックでもエレガントでもなかったようで。
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オオタクーミンさん/女性/東京在住、もしかして「鉄子」と「歴女」のさきがけだったのかも知れない、ぎりぎりアラフォー世代のライターです。小さいころから、愛読書の1つが時刻表で、プライベートの国内旅行には、たとえ北海道を旅するのにも、飛行機を使うなんてことは、はじめから考えない、まったく日航を応援してない日本人です。