イギリス面白話
イギリスでのちょっとした面白話しや為になる話を紹介します。

イギリス/「出た!」〜ロンドン塔で〜

2010/06/27

「イギリス好き」といっても、ハリー・ポッターにも、紅茶やポプリや花柄やハーブやガーデニングにもとくに興味はなく、しかし、幽霊は好きです。ただし、信じているわけでもない。ミステリーや「幽霊話」が好きなのです。

ほとんど地震のない国なので、石造りの館は、「築100年」ぐらいでは、新築のようなもの。300年、400年もたつと、見るからに「出そうな」ふんいきをかもしだします。実際、何度も幽霊が現れては、何世紀か前に塗り固められたとおぼしき壁や床の向こうに消えていく。そこで、しっくいやレンガをはがしてみたら、なんと、もう一つ部屋があって、そこには……などという話は、いくらでもころがっているようです。

イギリスの代表的な観光名所・ロンドン塔は、もっとも古いところで、築900年。宮殿だったことより、牢獄・処刑場として有名です。ここに収監された人の落書き(壁を削った跡)や拷問道具なども生々しく、王さまや女王さまに首をちょん切られた人々(王位継承のライバルやプロテスタントなど)の幽霊は、「そりゃ出るに決まってる」のです。

冬のロンドンは、3時をすぎればもう薄暗い。「〇▽※」と、後ろからだれかがささやきます。「え?」と振り向いても、だれもいない。これは……。「キャサリン・ハワードに違いない」と、なぜか確信したのです。前の日、「マダム・タッソー」で目が合った、あの人だ――! 不倫の罪で斬首された、16世紀のヘンリー8世の5番目の王妃です。

「ロンドン塔で、キャサリン・ハワードに会ってきた」と、ホテルのフロント氏に報告すると、「本当ですか。うーん、それはどうでしょう」。そうか、やっぱりそうそう幽霊には会えないんだと思ったら、続きがあった。「あそこにいるクイーンは、2番目の王妃アン・ブーリン(同じく不倫の罪で、ただしこちらは冤罪で斬首)のはずですが」。やれやれ、やっぱり出るンすか。「キャサリンに会いたいなら、ハンプトン・コート(当時の宮殿)に行かれてみては?」。別に会いたいというわけではありませんがね。

東京に帰ってから知ったのですが、あのろう人形のモデルにもなったはずの、長い間、「キャサリン・ハワード」とされていた肖像画は、実は彼女のモノではなかったと、最近わかってきたそうで。とすると、ロンドン塔で、私に呼びかけたあの人は……?

関連記事
ライタープロフィール

オオタクーミンさん/女性/東京在住、もしかして「鉄子」と「歴女」のさきがけだったのかも知れない、ぎりぎりアラフォー世代のライターです。小さいころから、愛読書の1つが時刻表で、プライベートの国内旅行には、たとえ北海道を旅するのにも、飛行機を使うなんてことは、はじめから考えない、まったく日航を応援してない日本人です。