歴女の歴史を楽しむ旅
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奈良県/「うだつの上がる」家〜奈良の街のそこここで〜

2010/05/08

奈良の街には、古い街並みで知られた一帯があります。たとえば、奈良公園からそう遠くない「奈良町」や、大和八木駅近くの「今井町」など、江戸時代の町家の暮らしを伝える民家が保存され、カフェやレストランになってたりもしています。

奈良町は、元興寺の門前町として栄えたところ。格子造りの民家や商家などが見られます。観光ポイントに近いので、アクセスも便利です。もちろん、そんな街を訪ねるのもいいのですが、たとえば新薬師寺や法隆寺の周辺など、なにげなく入った路地にも、奈良にはそんな古い町屋が点在しています。

古い民家の2階、というか中2階といった風情のしっくいの外壁に、今でいう「出窓」のようにせり出して、瓦屋根もついているのが、どうやら「うだつ」。「うだつが上がらない」=「出世しない」という、あのうだつです。

隣家からの類焼を防ぐための防火壁の役目を果たしているとかで、つまり守るべき財産がある家が、「うだつを上げる」のですね。

鬼瓦もそれぞれ意匠を凝らしているし、家紋らしき瓦も見えるし、魔除けか運気上昇のおまじいなのか、上に「何かが乗ってる」家も目につきます。「何か」は、たとえば七福神のひとりのようでもあるし、あるいは鍾馗さまなのか、石なのか瓦焼きなのか、その道にくわしくない私には、まして遠目には、しかとはわかりません。

「あれ、なんでしょう?」と、だれかにたずねてみたくても、人影はない。たまさか通りかかる人がいても、「さぁ、なんでっしゃろねぇ」。この街の長い歴史のなかでは、200年かそこらの建物など、ただただ日々の暮らしにとけこんだ1コマの風景なのでした。

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ライタープロフィール

オオタクーミンさん/女性/東京在住、もしかして「鉄子」と「歴女」のさきがけだったのかも知れない、ぎりぎりアラフォー世代のライターです。小さいころから、愛読書の1つが時刻表で、プライベートの国内旅行には、たとえ北海道を旅するのにも、飛行機を使うなんてことは、はじめから考えない、まったく日航を応援してない日本人です。