歴女の歴史を楽しむ旅
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奈良県/「天平文化」のまっ朱、朱〜平城京址と大仏殿で〜

2010/05/08

仕事で大阪に出かけたその帰り、何の準備もなく、ただあわただしく奈良に向かったことがありました。4〜5年前だったでしょうか。その数年前に復元されたと聞きながら、まだ見ていなかった平城京址の朱雀門を見たいと思ったのです。

けれども道がわからない。最寄りの駅だという近鉄・大和西大寺駅から贅沢にタクシーを使うことにして、ドライバー氏の語るには、「朱雀門ですか。あれねぇ、ン十億とか、ン百億とかかけてねぇ……」と、いささか批判的なご様子です。「しぇーっ、門ひとつに、ン百億 ですかぁ」「総ひのき造りだっていうから」。

平城遷都1300年祭のために、朱雀門だけでなく、大極殿その他、平城京を復元するプロジェクトの総費用が、ン百億だったのかもしれませんが。とにかく私が訪ねたときは、広い広い緑の平城京址に、工事現場と資材置場と、そびえ立つ巨大な朱雀門。真っ赤っかではなく、まっ朱、朱というのか……。高さ約25m、幅約30m、奥行約10m。「これはスゴイ」。1300年前の人は、今の私以上に、口をあんぐりあけて見上げるしかなかったのでは。

朱雀門に限らず、再建されたり、復元された当時の建物の色のあざやかさに、今さらながら驚かされます。しかし、飛鳥〜奈良文化のもとは、中国(隋〜唐)文化だったのだから、まっ朱、朱なのは当然なのでした。それが1000年の時をへて、しぶさをまとった奈良を訪ねて、私なんぞは「これぞ、天平文化だ」なんて思っていたのです。

仏像だって、もとは、金ピカ。東大寺の大仏も、全身に金メッキをほどこされていたのだから、さぞキンキラキンだったことでしょう。だからこそ、いっそう「ありがたい」と思ったはず。いや、極彩色の寺院も、金ピカの仏さまも、庶民にとっては、一種のテーマパークだったのではと思ったりして。 今年、平成22年は遷都1300年。大極殿も完成し、「平城京」は盛り上がることでしょう。ミーハーなくせに人混みの苦手な私は、しばらくたってから出かけます。

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ライタープロフィール

オオタクーミンさん/女性/東京在住、もしかして「鉄子」と「歴女」のさきがけだったのかも知れない、ぎりぎりアラフォー世代のライターです。小さいころから、愛読書の1つが時刻表で、プライベートの国内旅行には、たとえ北海道を旅するのにも、飛行機を使うなんてことは、はじめから考えない、まったく日航を応援してない日本人です。