イギリスってどんな所?
イギリスに長期滞在したそまちひろさんがイギリスについて紹介します。

イギリス人は本当に紅茶好きなの?

2015/12/24

イギリスで作っているわけではないのに、なぜかイギリス土産の代表格のように扱われる紅茶。わたしも初めてイギリス旅行をした際は、有名店のフォートナム&メイソンでお土産用にミニ缶を買ったものです。

イギリスと紅茶には、長く複雑な歴史があります。紅茶自体は紀元前の中国でも飲まれていましたが、ヨーロッパに初めて紹介されたのは17世紀の始め。紅茶が大好きになってしまったイギリス人は、中国の清から大量に紅茶を輸入し始めましたが、支払いに困り、何と自国の植民地のインド産アヘンで支払いを始めます。結果アヘンが清国中に流通し、清国民に悪影響が出ました

これを問題視した(当たり前ですが)清は、アヘンの輸入を禁止。それに逆ギレしたイギリスはアヘン戦争を起こし、清を屈服させます。賠償として重要な貿易港だった香港がイギリスに譲渡されました。紅茶が歴史を大きく動かした瞬間でした。

といったキナ臭い歴史のある紅茶ですが、そこまでして飲みたかった紅茶、今でもイギリス人に人気があるのでしょうか?

答えはイエス、です。ステレオタイプですが、朝昼晩と紅茶を飲みたがるイギリス人はたくさんいます。ちょっと一息休憩、というときにも、必ず紅茶なんですよね。これは老若男女問わず同じ傾向があります。

友人のイギリス人(スコットランド出身なので、イギリス人と呼ぶと嫌がるのですが)は、30代の男性ですが、やはり朝昼晩と紅茶を飲まないと落ち着かないようで、しかも絶対にミルク入りじゃないとダメというこだわりよう。一度わたしの自宅でパーティを開いたとき、わざわざお気に入りの紅茶を持参してきて、しかもミルクがないと分かると、わざわざコンビニに買いに走っていました。

イギリス人でコーヒー中毒の人って、そういえば見たことありません。カフェイン依存は紅茶で十分、ということなんでしょう。

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ライタープロフィール

そま ちひろさん/女性/年齢:30代/中南米(2013年現在)/フリーライターおよび翻訳業。お気に入りの国はインド、住んでみたい国はスペイン、そして現在は南米を縦横断中、という矛盾だらけの人生を満喫しています。著作に「ヘラクレイトスの水」(大宰治賞2009収録)。