イギリスってどんな所?
イギリスに長期滞在したそまちひろさんがイギリスについて紹介します。

イギリスで一番美味しいイギリス料理

2015/12/15

イギリス料理と聞いて何が思い浮かびますか? フィッシュ・アンド・チップス(料理とも言いがたいですが)、ベイクドポテト、ローストビーフ…なんだか飾り気のないシンプルな料理ばかり。実際、ものすごく美味しいイギリス料理に出会ったことって、ないんですよね。歴史上ずっと仲の悪かったお隣のフランスが、世界3大料理のひとつに数えられているのとは対照的で、この点ではイギリス人はぐうの音も出ないようです。

さて、けれどイギリスにもほとんどの人が「美味しい」というイギリス料理があります。それは「イングリッシュ・ブレックファスト」、つまり朝食。

起源は古いものではなくて、19世紀末のヴィクトリア時代と言われますが、現在のイギリスの典型的なイメージ(紳士服、街並み、文学など)の多くはヴィクトリア時代に作られたものなので、立派な文化のひとつと言えるでしょう。

さて、その中身はというと、まず薄切りにした小さいトーストと、ジャム、バター。そしてコーヒーではなく必ず紅茶。ミルクを添えて。オレンジジュースが付いてくることも多いです。

大きなワンプレートには、お好みに調理した卵(スクランブルエッグや目玉焼き)、カリカリに焼いたベーコン、ベイクドビーンズ(甘くない小豆)、ソーセージ。たまにフライドポテト。そしてトマトの輪切りを焼いたもの。

朝からものすごいボリュームです。そして炭水化物とタンパク質の多いこと…。よく言われる健康法に、「朝は王様のように食べる」というものがありますが、まさにそれを地で行くような朝食です。

しかし焼いたトマトってどうなのか…と思われるかもしれませんが、これが炭水化物とタンパク質のさっぱりとした箸休めになって、意外にいけるんです。

イギリスのホテルに泊まると、この伝統的な朝食がデフォルトのところが多いです。安いホステルだと、コンチネンタル(トーストにコーヒー、みたいなシンプルな朝食)が多いですが。

イングリッシュブレックファストは普通に食べても美味しいのですが、イギリスのエールを飲みすぎて二日酔いでふらふらの朝に食べると、身体に染み入るように感じられます。アルコールの分解に必要なものがすべて含まれていますもんね。大酒を飲む人が多いイギリス人がこの朝食を作ったのは、当然の結果という気がします。

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ライタープロフィール

そま ちひろさん/女性/年齢:30代/中南米(2013年現在)/フリーライターおよび翻訳業。お気に入りの国はインド、住んでみたい国はスペイン、そして現在は南米を縦横断中、という矛盾だらけの人生を満喫しています。著作に「ヘラクレイトスの水」(大宰治賞2009収録)。