- 文化ホールの仕事体験記
- キイチロウさんの文化ホール仕事体験記を紹介します。
仕事でのトラブル・クレーム
2011/10/04
文化ホールでの最大のトラブルは停電でした。しかも天災ではない、事故による停電です。舞台で催されるコンサートや演劇には、電源は不可欠です。それは大容量であり、非常用電源などではとても間に合いません。
コンサートを催す芸能プロダクションは、文化ホールに数十万円から数百万円の使用料を支払ってホールを借り受けます。そしてチケットの売上代金で、その費用や歌手の出演料を支払い、更に利益をも生み出すのです。
仮にそのコンサートが停電のために、途中で中止したとします。お客さんはコンサートを見ることができなかったのですから、チケット代金の払戻を請求してきます。そして芸能プロダクションはというと、それら一連の損害を文化ホールに賠償請求してくるのです。
例えば単純に入場料を5000円にしてみます。ホールの客席数が2000席あり完売していたとすれば、5000円×2000席で入場料収入は1千万円あったことになります。
行政の施設の中で、文化ホールは破格の使用料を徴収しています。開催する催物が利益を目的としているかしていないか、更にその入場料の金額によって、文化ホールの使用料は大きく変わります。たった1日だけの使用でも、数百万円になることがよくあります。
それだけ高額の使用料を徴収する以上、文化ホール側は少しの不備もないよう、常に万全を期していなければなりません。冷暖房は勿論、エレベーター、防災器具なども同様です。そして電気設備、機械設備、消防設備とくれば、その次は警備です。
人気歌手のコンサートになると、例えチケットが無くても見たいという人が必ずいます。まずチケットを持ったひとりが受付を済ませて、ホールの中に入ります。そしてあらかじめ打ち合わせておいた時間に、そのひとりがホールの内側から非常ドアを開けて、チケットを持っていない数人をホール内に不正に入れるのです。
一見ホール側に不備はないように見えますが、非常用とはいえ簡単に開閉可能なドアがある以上、管理体制を問われて利用者側からクレームがつきます。一番行政らしくない文化ホールでは、予想できないトラブルやクレームが数多くあります。
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キイチロウ/男性/50代/福井県在住/ごく普通の仕事をしていて、ごく普通の考え方をする、ごく普通の趣味を持った、ごく普通の外見の人間です。ただ他の人よりも少しだけ、人間ウォッチングに優れていると自分では思っています。