作曲家の舞台裏
「作曲家と演奏家の違いとは?」「作曲家の創作方法」「作曲家の歌唱指導」「作曲家と作詞家どちらが強い?」「作曲家の七つ道具とは?」など作曲家の舞台裏を紹介します。

作曲家と作詞家どちらが強い?

2014/06/02

作詞家と作曲家では、業界でどちらの力が強いと思いますか?詞を書いても曲がつかなければ作品になりません。しかし、詩がなければ作曲はできません。著作権法や印税配分などを考えて天秤にかけると、やや作詞家の方に傾いています。

私が同人誌シルクロードの会員だった頃、新人作詞家より作曲の依頼を多数受けていました。しかし、作曲してみるとメロディーの流れに違和感を感じる場合が多いのです。あと1文字少なければ・・・あと2文字多ければ・・・流れがグンと良くなります。

私は連絡を取り、メロディーの流れによる字数の修正を依頼します。しかし、いつまで待っても修正詩を送ってこないのです。新人は詩が完成した時点で固まってしまい、後からの加減ができません。

ベテラン作詞家で、必ず近い将来メジャーデビューすると確信した作家がいます。私は何度もアタックし、ようやく作曲でコンビを組む事ができました。詩の構成や抑揚、そして新鮮な表現方法に纏まりがあり、魅力的な詩を送ってきました。

私は早々作曲しましたが、サビの部分でどうしても1フレーズだけ編集したいのです。
「私への嘘」を「あなたの嘘」にですが、
「私への嘘」は私・嘘ともに歌う歌手に歌いかけています。
「あなたの嘘」は歌手が相手(観客)に訴える事ができます。

しかし、作詞家から返ってきた言葉は「私の作品に一切の手を加えるつもりはありません。できないならキャンセルで構いません」いやあ・・実に手厳しい方で仲たがいしてしまいましたが、やはりメジャーデビューしました。

話は変りますが、夫が作曲家で妻が作詞家というカップルは意外に多いのです。レコード会社から依頼があると、夫婦は別居してしまいます。妻の作詞家が夫に詩を渡すと、手厳しく修正を求められます。しかも、1回や2回ではなく何10回と修正を繰り返すのです。

ヒット曲を多数出している有名なカップルですが、作詩を担当する奥様は、「仕事でなければ早々離婚しているし、こんな口うるさい男性とは一生付き合いたくない」と話してくれました。しかし「日常生活では立場が逆転して、上手くバランスが取れている」とも話してくれました。

作詞家と作曲の力関係を測るには、実力と実績のバランスになるのでは?と思っています。

関連記事
ライタープロフィール

Jack天野/男性/年齢:50代/セブ島在住/13歳より横須賀の将校クラブでドラマーデビュー、20歳でハモンドオルガン奏者、その後ピアノの弾き語りとしてファイアットリージェンシーと契約し東南アジア各国のホテルロービーピアニストを務めました。ちょっとマイナーな部分も含めて、楽しい記事を書きたいと思います。宜しくお願いします。