中国で教えられたこと
中国滞在(7年)のヤンヤンさんが中国で教えられたことを紹介します。

貧困は悪いことなのか?

2013/11/29

私が初めて中国に来たのは14年前のことでした。当時の中国は本当にまだまだ何もなくて、ある年配の日本人の方は30年前の日本にとても似ていると言っていました。

当時、中国の大学で語学留学していたのですが、中国の学生たちはお世辞にもおしゃれな格好はしておらず、シャワーもない狭い寮に6人で暮らしていたりして、日本との経済格差にかなり驚いたことを覚えています。

そして、経済格差とともにとても印象的だったのが、中国人の学生たちの真面目さでした。知り合った学生のほとんどが日本語を勉強していた学生だったのですが、少しでも日本語が上手くなりたいという気持ちでいっぱいの学生たちばかりでした。

聞くと、授業以外の時間は図書館で自習をして、朝も早くから教室で自習をしているとのことでした。私は学生生活でそこまで勉強に時間を費やしたことがなかったので、驚きととまどいと、恥ずかしさを感じたことを今でも覚えています。

1年の語学留学を終え、日本に帰国し、その3年後、日本語教師として中国の広東省にある大学に赴任することになりました。

大学に行ってみると、生徒には2種類の雰囲気がありました。留学中に見た「真面目すぎる学生」と「とりあえず卒業できればいいという学生」です。

しばらく見てみると分かったことがあります。「真面目すぎる学生」はあまり身なりがきれいではないのです。それに比べ、少し適当にこなそうとしている学生は身なりがこぎれいで、どうもある程度裕福な家庭の出身のようでした。

真面目な学生の中には親戚中からお金を集めてやっとの思いで大学に通わせてもらえるようになった、というような子もいて、授業は必ず最前列で受け、提出物も忘れることなく、驚くほどの純粋さで真面目に勉強をします。

そこで感じたことは、裕福さは人が前へ突き進むエネルギーにはなり得ないのかもしれない、ということでした。もしかしたら貧しくて一生懸命勉強した学生は一生お金持ちの適当に勉強した学生よりも裕福になることはないのかもしれません。それでも、一生懸命何かをやり遂げたその貧しい学生のほうが心の財産は多いのではないだろうか?と思うのです。裕福になることでなくしてしまうことがあるのかもしれません。

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ライタープロフィール

はなオンマさん/女性/年齢:30代/中国北京在住/中国在住9年目、夫は韓国人で2人の子供の育児中。もはや自分が何人か分からなくなってきている今日この頃。楽しくなれる記事を書いていきたいです。