人生を変える旅をするには
「若いうちの旅のススメ」「旅は新しい自分を見つけるチャンス」「知っておきたい旅のリスク」「現実逃避が人生を変えるきっかけになることも?」「旅に出ようか迷っている人へ」などを紹介します。

現実逃避が人生を変えるきっかけになることも?

2018/01/31

「目的を持って旅をしなさい」とか、「旅を現実逃避の手段にしたらいけない」としたり顔で言う人がいます。そういう人に限って、パック旅行以外の旅行をしたことがないケースが多いですが。

目的を持って旅をするというのは、「世界遺産を20個見る」とか、「現地の言語を話せるようになる」などでしょうか。そういった目的を持っていると確かに日々のモチベーションは上がりますが、その目的をこなすことに終始してしまって、実際あまり旅を楽しめない、という事態に陥っている人もいます。

知り合いに、4週間でヨーロッパ4カ国、メキシコ、タヒチの計6カ国を周る新婚旅行をこなした夫婦がいます。「せっかくまとめて休みをとったから、行きたい国に全部行くことにした」と言っていましたが、結果的にヨーロッパの国は全部2−3泊ずつ、メキシコは8日間、タヒチに2泊、あとはものすごい時間飛行機で移動している、という旅行をしていました。「行きたい国に全部行く」という目標は達成できたかもしれませんが、果たして彼らは本当に楽しんだのか、疑問が残ります(加えて、移動のしすぎで体調を崩していました…)

旅に出ること自体が目的、でいいと思うのです。観光名所とか、食べ物とか、現地ならではのものを体験して楽しむのはもちろん旅行の目的ですが、知らない場所に行って、知らない言葉を聞きながら、コントロールがあまりできない状況でオタオタする、という日常ではできない体験が、結局一番心に残ったりします。

とりあえず今の状況から抜け出したいから、別に行きたい場所でもないけど行ってみるか、という言わば現実逃避の旅も同じです。すごく楽しい体験をして、心が顕れるように感じる人もいるでしょうし、お金はないし友達もできないしで散々だった、と帰ってくる人もいると思います。でも現実逃避で旅行をしたという経験は、必ずあなたの人生に深みを与えてくれます。人生の一時期に旅をしたと語れる人は、物の見方が旅をしない人に比べて少しだけ常識から外れていて、それが人間性に個性と面白さを加えてくれます。

旅による人生の変わり方は、外国語が話せるようになって、外国人の恋人ができた、果てはその国が気に入りすぎて移住することになった、という目に見えるものから、自分の内面に起こる小さな変化までいろいろです。

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ライタープロフィール

そま ちひろさん/女性/年齢:30代/中南米(2013年現在)/フリーライターおよび翻訳業。お気に入りの国はインド、住んでみたい国はスペイン、そして現在は南米を縦横断中、という矛盾だらけの人生を満喫しています。著作に「ヘラクレイトスの水」(大宰治賞2009収録)。