人生を変える旅をするには
「若いうちの旅のススメ」「旅は新しい自分を見つけるチャンス」「知っておきたい旅のリスク」「現実逃避が人生を変えるきっかけになることも?」「旅に出ようか迷っている人へ」などを紹介します。

人生を変えた、インド・リシケシでの出会い

2018/01/23

インドの首都・デリーから300キロほど北に行ったところに、リシケシという町があります。60年代にビートルズが来てヨガ修行したことで有名な町で、今ではヨガと言えばリシケシ、というほどヨガ教室とアーシュラム(宿泊型修道場)で溢れています。

ガンジス川はこのあたりではかなり上流の方なので、泳げるほどきれいです。ガンジス川の流域にラクシュマン・ジューラーとラーム・ジューラーというふたつの集落があって、わたしは初めてリシケシに来たときは、ラクシュマン・ジューラーの方に1ヶ月強滞在しました。

ヨガを習うのが目的で、もちろん週に何回かヨガ教室には行っていたのですが、リシケシでわたしを魅了したのは、そこに集う様々な国籍の、変わった人たちとの出会いでした。ゲストハウスの隣の部屋に泊まっていたポーランド人のカナダ人の友人を紹介してもらい、そこからその友人のアメリカ人と友達になり、ふたりを介してニュージーランド人と知り合い、そのまたゲストハウスの隣人だったアルゼンチン人と知り合い……。ゲストハウス繋がりで日本人とも、イスラエル人とも知り合いました。芋づる式とはこのことです。

全員が様々なバックグラウンドを持ち、リシケシにいたるまでの理由もいろいろで、そして全員が人生について深く考え迷っていました。ポーランド人は定職についたことがなく、何かを極めたいと考えてヨガ教師になるためのトレーニングを受けていました。アメリカ人はゲイで、自分を見つめなおすため大学を休学して長期旅行中。ニュージーランド人は5年前に仕事を辞めてからは、もう常に世界のどこかを旅行中。イスラエル人は兵役を終えて羽を伸ばすために来たインドでヨガに出会い、心の安定を得たそうです。

リシケシにはこういった「どこかへの途中の人たち」が出会い、意見を交わして、自分の道を確認するような場所でした。日本から長期で出たことがなかったわたしには、それぞれの人たちの事情と個性が眩しいばかりでした。日本から出なければ絶対に出会えなかっただろうタイプの人たち、彼らを知って、自由と自由になることの責任についていろいろと考えました。人生の中で今でも一番輝いている時間のひとつです。

普段なら関わらないような人たちに出会い、新しい価値観をもらう。それが「人生を変える旅」の核心なのだと思います。

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ライタープロフィール

そま ちひろさん/女性/年齢:30代/中南米(2013年現在)/フリーライターおよび翻訳業。お気に入りの国はインド、住んでみたい国はスペイン、そして現在は南米を縦横断中、という矛盾だらけの人生を満喫しています。著作に「ヘラクレイトスの水」(大宰治賞2009収録)。