- 上下水道課の仕事体験記
- キイチロウさんの上下水道課仕事体験記を紹介します。
実際に働いてみて驚いたこと
2011/09/21
都市ガス工事や電柱工事などの最中に、上水道配管を破損してしまったという連絡がよく入りました。現場に行くと信じられないほど高くにまで水柱が上がっていて、職員ながらそれが本当に水なのかと驚いてしまうことがありました。
水道の蛇口をひねると、水は勢いよく出てきます。それは圧力があるからで、配水池方式なら、配水池と配管の高低差の圧力がかかっていることになります。理屈では分かっていながら、数十メートルも上がる水柱には本当に驚愕しました。
定期的に配水池の清掃を行なう機会がありました。勿論、仕切り弁を止めて行ないますから、汚れた水は一切家庭配管に流入することはありません。
しかし配水池の底面に溜まった大量の泥や、壁面にこびり付いた汚れには驚きました。飲料水を溜めるはずの配水池が、そんなにも汚れていることは本当に驚きでした。
工事や漏水修理のとき仕切り弁を止めると、蛇口から出る水が濁ってしまうことがよくありました。それは道路に布設してある水道管の中の水の流れが変わり、配管の中に溜まっていた泥が舞い上がってしまうからでした。
水道水というのは、常時、水が同じ方向に流れているから澄んでいます。蛇口からは澄んだ綺麗な水が出ても、その配管や配水池はかなり汚れているという事実が分かりました。
下水道が普及して、昔の「どぶ川」はなくなりました。家前にある側溝にたっぷりと溜まった泥の山を掃除する、町内会の「どぶ掃除」もなくなりました。しかし町中が清潔になった分だけ、下水道の汚水管の中には汚れた水が流れていました。
町全域から汚水管が流入してくる浄化センターには、大量の汚水が流れ込んできました。その光景を目の当たりにして、初め私は吐き気をもよおしました。その量たるや想像の範囲を遥かに超えていて、目の前を全市民の糞尿が流れていくといった感じでした。
しかしそれが幾つもの設備を経て行くにつれ、汚水は少しずつ綺麗になりました。処理の段階で大量の肥料を生み出し、その肥料は何千万円という価格で売れました。また最終的に浄化された澄んだ水には栄養がたっぷりと含まれていて、その中で悠々と泳ぐ鯉に私はとても驚きました。
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キイチロウ/男性/50代/福井県在住/ごく普通の仕事をしていて、ごく普通の考え方をする、ごく普通の趣味を持った、ごく普通の外見の人間です。ただ他の人よりも少しだけ、人間ウォッチングに優れていると自分では思っています。