ディナーショウの裏舞台
「ディナーショウの魅力と感動」「ディナーショウの企画&立案」「出演者の選定」「会場設定」「下準備」「進行構成」などディナーショウの裏舞台を紹介します。

ディナーショウの進行構成

2014/02/07

ディナーショウの進行は、胃が痛くなるほど細心の注意を払ってスタッフに指示をだします。スタッフは動き回りますが、観客の前ではゆっくりと落ち着いて、見えない所では駆け足です。また、スタッフには行動と担当範囲があり、動いた後も必ず低位置で待機するよう指示します。これは、ショウの邪魔をしない事と必要以上に動かない事が基本だからです。

それでは、ディナーショウの開演から終演までの舞台裏をご紹介しましょう。場内に開場のアナウンスが流れると、私はピアノに座り演奏を始めます。ピアノの生演奏でお客様を迎えるとゴージャスなイメージを与える事ができ、グ〜ンとリッチな雰囲気になります。

ピアノの傍にスタッフが3人おり、私の指示を待っています。主催者がピアノを弾くより他に仕事があると思うでしょうが、ピアノを弾きながら客席を見渡すと周囲の状況が一番良く判るのです。私を見つけて挨拶に来る観客もいますが、ピアノを弾きながら話をして席に案内させます。

席が8割埋まった状態で、シャンパンとワインそして前菜を出す指示を与えます。ひと通り飲み物が行き渡る頃には満席になり、出入り口をひとつにしてドアを閉めます。これは、遅れて入ってくる人が、ショウのイメージを壊さない為の工夫です。

ホテルの支配人がピアノの隣にくると私の役目は終了し、司会者が登場します。司会者は漫談や物まねを得意とする芸人を採用し、会場を和やかな笑いに包み込んでいきます。メインディッシュが食べ終わる頃を見計らって、前座歌手が登場します。地元の歌手は花束を受け取りながら熱唱を繰り広げ、会場を盛り上げるのが仕事です。

ディナーが終了しデザートと焼き菓子が配膳されると、スタッフの動きはストップします。動く者が少なくなったのを確認してから、メイン歌手のショウが始まります。

メイン歌手の中には予め観客よりリクエストを受けている場合もあり、「お客様の中村さまより、私のデビュー曲を是非是非歌って欲しいとリクエストされました」という場合もありますが、観客を惹き付ける為のテクニックで真実とは限りません。

歌手の持ち時間は30分で5曲と喋りになりますが、アンコールがあれば答えてくれますし、予め用意しています。しかし、二回目のアンコールに答える事はできません。

ディナーしショウが終了すると、私は再びピアノを弾き始めます。隣にはスタッフが3人待機しています。お客様を気持ち良く送り出す事と、酒席でのトラブルを事前に防ぐ要素もあります。出口とは関係なく楽屋へ向かおうとする人を見つければ、素早く制御して出口に案内します。終了後でもワインやシャンパンを頼むお客さんがいれば、状況によりOKをだします。

特に後援者やチケットを纏め買いしたお客様、クラブのママなどの支援者は居残ってますから、ひとつのテーブルに集まってもらい、支配人の裁量で肴とお酒がでます。ここで私はピアノを終了し、テーブルに向かい挨拶をして打ち上げの席に案内いたします。

私のディナーショウ進行はピアノが基準になっていますが、ピアノは周囲全体がハッキリ見える場所に設置してあり、一番把握しやすいからでした。ピアノがあるだけで支配人も立つ事ができ、無ければ不自然で立てるような場所ではありません。

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ライタープロフィール

Jack天野/男性/年齢:50代/セブ島在住/13歳より横須賀の将校クラブでドラマーデビュー、20歳でハモンドオルガン奏者、その後ピアノの弾き語りとしてファイアットリージェンシーと契約し東南アジア各国のホテルロービーピアニストを務めました。ちょっとマイナーな部分も含めて、楽しい記事を書きたいと思います。宜しくお願いします。