- 歴女の歴史を楽しむ旅
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奈良県/その名は、杉原でも梅原でもなく、藤原氏…〜春日大社と談山神社で〜
2010/05/08
春日大社に行ってみましょう。うっそうとした木立のなかの参道を歩いて行くと、同じすがすがしさでも、やはり寺院とはどこか違う、いかにも神域らしい趣きがあります。
朱塗りの本殿は、とにかく華麗。いかにも栄華を極めた藤原氏の氏神です。
藤原氏のシンボル(家紋)は、藤の花。こちらの巫女さんは、驚くほど大きな藤のかんざし(というより冠)をつけていて、これもまた派手というのか、いや、みやびというのでしょう。境内に藤棚があり、地面につくほどの藤の花が咲くという季節には、いっそう華やいで、たいへんなにぎわいになるとか。
藤は、つる性の植物なので、野生なら、ほかの樹木や、ときにはブロック塀などにからみついて育ちます。
忠臣・中臣鎌足の末期に、天智天皇が「藤原」の姓を授けて以来、その子孫が藤原氏を名のるわけですが、「この世をば、わが世とぞ思うもちづきの、欠けたることのなしと思」った藤原道長の栄華以降、摂関家(近衛・九条・二条・一条・鷹司などの家名は、いわば通称を姓としたもの)として、あるいは天皇の縁戚として、藤原氏は天皇家とともに、というか、からみついてというか、繁栄して――というのはたしか梅原猛先生のご著書の受け売りですが。松原でも梅原でもなく、藤原というのは、象徴的です。
藤原氏の祖・中大鎌足をまつった神社が、談山神社。JRの奈良駅から桜井線に乗って約30分。終点の桜井駅から、また30分ほどバスにゆられてたどりつきます。
十三重塔という、めずらしい、そして美しい塔があります。本殿は、日光東照宮のモデルになったそうですが、たしかにこちらもきらびやか。拝殿には、教科書などでおなじみの、中臣鎌足の肖像があります。中大兄皇子(後の天智天皇)と鎌足が起こしたクーデター、例の「大化の改新」(乙巳の変)のいきさつを描いた絵巻も展示されていて、蘇我入鹿の首が皇極天皇のそば近くに飛んでいくシーンとは、「あ、ここにあったのね」という形で対面しました。
中大兄皇子と鎌足がクーデターのはかりごとをしたから、談山(はからいやま)なのですが、たしかに密談にはふさわしいロケーション。ちなみに、神社のほうは「たんざん」と読みます。若葉と紅葉の季節は、観光客でにぎわうそうで、「おしのび」をなさるなら、シーズンオフに。
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オオタクーミンさん/女性/東京在住、もしかして「鉄子」と「歴女」のさきがけだったのかも知れない、ぎりぎりアラフォー世代のライターです。小さいころから、愛読書の1つが時刻表で、プライベートの国内旅行には、たとえ北海道を旅するのにも、飛行機を使うなんてことは、はじめから考えない、まったく日航を応援してない日本人です。