ホテルのロビーピアニスト体験記
プロミュージシャンへの道のり、ピアノ弾き語りの魅力、ホテルのロビーピアニストとは、東南アジアへ演奏旅行について紹介します。

ホテルのロビーピアニストに転職

2012/12/14

小田原の有名クラブでピアノの弾き語りをしていると、お客さんの席に呼び出されました。名刺を渡され良く見ると、某有名プロダクションの名前が書かれています。

店内では話ができないと言われ、翌日駅前の喫茶店で待ち合わせをしました。相手は某有名プロダクションの専務で、「話をつけるから内と契約してくれ」と言います。九州に支店を作り、所属歌手が九州公演した時に追随して演奏する仕事です。

私が小田原のプロダクションにお世話になった事を伝えると「社長には話をして、本人がよければ構わないと承諾してもらった」と言います。話はトントン拍子に進み、博多へ移動する事になりました。

東京から博多に歌手が来ると、一緒に九州を一周するスケージュールで公演します。博多に戻ると他の歌手が来て、また九州を一緒に一周します。高級ホテル住まいで、ショウの後の打ち上げでは郷土料理が並びます。収入も良く、居心地も良かったのですが、専務が東京に帰ると不具合が生じます。

私はピアノが無いステージではドラムを担当させられたのです。ドラムがしっかりしていると、少々バンド演奏を間違えてもステージが円滑に進むからです。これが蜜の後のしっぺ返しになってきます。

当時九州には大型キャバレーが多く、専属バンドやチェンジバンドを雇っていました。毎日のようにショウタイムがあり、周に1回は有名歌手が出演するのです。問題は、所属しているバンドのピアノやドラムです。「何で俺の演奏じゃあかんのじゃ、東京もんより劣るっちゅんかい!」と文句を言ってきます。九州人は血の気が多く、方言もめちゃ怖い感じに聞こえてきます。やがてストレスが溜まり、胃に穴が開いてしまいました。専務に相談して契約を解除し、暫くは福岡で療養する事にしたのです。

福岡で滞在したホテルには広いラウンジがあり、ディナーでピアノの弾き語り演奏が始ります。やっぱりバンドよりも、個人演奏の方が気楽で良いよなあ・・「そうだ!ホテルのロビーピアニストならば1人でできるし、歌伴もないし」と考えたのです。「どうせロビーピアニストを遣るんなら、海外の一流ホテルだ!」「博多から一番近いのはどこだ?韓国の釜山だ!」と一気に1人で盛り上がりましたがパスポートがありません・・・パスポートを取得する住所もありません・・・

「良し、博多に住所登録して先ずはパスポートを作ろう!」つて無し、こね無し、言葉通じず、後先を何にも考えない、アホなピアニストです。

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ライタープロフィール

Jack天野/男性/年齢:50代/セブ島在住/13歳より横須賀の将校クラブでドラマーデビュー、20歳でハモンドオルガン奏者、その後ピアノの弾き語りとしてファイアットリージェンシーと契約し東南アジア各国のホテルロービーピアニストを務めました。ちょっとマイナーな部分も含めて、楽しい記事を書きたいと思います。宜しくお願いします。