旦那様はニュージーランド人
ニュージーランド人の旦那様と結婚した山下さんの面白い話。

江戸っ子の金銭感覚?宵越しの金は持たない

2010/12/24

年々変わっては来ていますが、わたしが結婚した当初、身近なニュージーランド人で貯金をしている人はいませんでした。

あればあるだけ使ってしまう。なければ借りて使ってしまうってな感じだったのです。友人の言葉によると、「(ニュージーランド人の)夫は宵越しの金は持たないって決めているみたい。あると使わないと気が済まないようだわ」と。

わたしたちの場合はもともと若過ぎて、どこをたたいてもお金は出てこず、収入も微々たるものだったので、お給料がそのまま生活費や遊びに消えるはごく当然のことでした。

ただ、やや年上でしっかり日本で稼いで貯金してきた人には、ニュージーランド人の金銭感覚は信じられないようです。「どうして貯めないの!」と思ってしまうようですね。

今でこそ、貯金の金利は5〜6%と低くなりましたが(これでも、日本では考えられない高金利でしょうが)、15年も前では10%近くついていたので、「貯めない理由」が理解できないのももっともな話です。

では、貯金せずに何に使っているのかというと、単純に「欲しいもの」を買っているのです。最近ではやや賢くなって投資などを考える人も出てきたようですが。以前は純粋に「稼いだら、欲しいものを買わなくっちゃ」という気分の人だらけでした。

以前、貯金したがるわたしに対して、「お金の使い方が分からないのか?」と夫に不憫がられるようなことがありました。

「いざという時のため」(わたし)
「じゃ、いざはいくらあればいいの?」(夫)
「○○ドルくらい?」(わたし)
「それだけ貯まれば、後は自由に好きなもののために使えるの?」(夫)
「・・・さらに貯金を増やす・・・」(わたし)
「どうやって人生を豊かに過ごすか知らないんだね」(夫)

確かに・・・。

日本人は世界一現金を持っていて、収入も多いのに「貧乏くさく」見られてしまうのは、豊かに暮らす方法を知らないからかもしれません。

話は変わりますが、夫は出会った当時「小切手帳」を持っていました。一緒に出掛けるとササッと小切手に金額を入れてサインをして渡していたのです。日本では、小切手を使う人なんて、大金持ちしかいないでしょう?「うわ〜」と思ったものです。

けれど、ほんの数日後、自分にも小切手帳が発行されて、その勘違いがすぐに消え失せたのですが…(誰でも持てるのです)。

ちなみに、ニュージーランド人は不動産購入が好きです。貯金はしないけれど、不動産は別。投資として購入するのです。ニュージーランド人は平均して、人生の中で4回不動産を買いかえるという話でした。

最初は独身時代にひとりで住める小さなもの、次は結婚後夫婦で住める家、そして3回目は子供の人数に合わせた大きな家に、その後4回目はリタイアのための家を購入するわけです。

さらに、一生の買い物で住み続けるという意識がなく、値上がりすれば手放して利益を得るという思いが強いので、家の手入れは欠かしません。きれいに住み、ペンキなどもこまめに塗り替えます。

けれど、わたしにしてみれば、この感覚はとても寂しく感じてしまいます。わたしの場合、子ども時代引っ越しは一度もなく、その生まれ育った家にいまだに親が住んでいます。愛着も思い出もあり、里帰りすれば「戻ってきた〜」という気持ちに包まれるものです。

最初はそんな日本人的な感覚が理解できなかった夫も、子供が誕生すると「それもいいかな」と思うようになっているようです。また、ここ十年くらいの不動産価格高騰で、なかなか売買が難しくなってきているのもニュージーランド人の昔ながらの考えに変化をもたらしつつあるようです。

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ライタープロフィール

山下なおこさん/女性/年齢:30代/ニュージーランド滞在(16年以上)、自然と素朴な料理が好きな女性です。