初めての作詞入門 中級編
「ツーハーフ作品の創作」「デュエット作品の創作」「男歌の書き方」「女歌の書き方」「歌詞のタメに就いて」など初めての作詞入門 中級編を紹介します。

ツーハーフ作品の創作

2013/02/18

ポップス系の作詞には、ツーハーフの作品が多数あります。洋楽の作曲法を用いた、ハメ込み詞が主流だからです。

歌謡曲も洋楽が流行しだした頃から、ツーハーフの作品が多くなっています。演歌の世界でもツーハーフが広がり、演歌好きな若い層の方を意識しています。

昔の話ですが、私の知人で「歌謡選手権」と言うテレビ番組に出演した兄弟がおりました。私がピアノの弾き語りをしている頃の知人で、プロの「流し」として有名でした。二人は東京の大手プロダクションにスカウトされ契約して上京しました。

1ヶ月ほどすると二人がまた流しをしています。流しとは、居酒屋や小料理屋、そしてスナックなどのお店を訪れ、ギターを弾きながら歌ったり、常連のお客さんの伴奏をする商売です。

「あれ?東京はどうしたの?レコードデビューはしたの?」と訊ねたら
「それがねえ・・・与えられた作品が♪ああんああ〜あああんあんって言う浪花節調なんだよ」
「夜中に荷物まとめて逃げてきたよ・・売れるはずないし、歌が時代遅れだよ」と嘆いていました。

さて、ツーハーフの作り方ですが、基本的に洋楽の構成を使用しますので、歌詞がその分長くなります。1番・2番、そしてサビの繰り返しでツーハーフになります。

1番と2番には、A・a・B・Cというベーシックな構成があります。四コマ漫画の起承転結と同じですから「B」がサビになります。

Aは、ストーリーの始まりでロケーションや主人公の設定、そして状況設定を表現します。
例「風が変わりました もうすぐ秋ですね」頭で夏から秋へと変わる季節を現しています。

aは、Aを引継ぎながらサビのCへ持っていくフレーズです。
例「あなたの住む 北のたよりを テレビで見ています」
相手と離れている事、そしてテレビを使う事で自宅を現し、相手と連絡が無い事が判ります。

Bは、テーマを訴求するサビの部分で、歌詞のクライマックスになります。
例「逢いたいね もう一度 わがまま言って困らせたけど 逢いたいね もう一度 喧嘩ばかりしてたけど」
相手への思いと懺悔を織り交ぜた表現にしています。

Cは、余韻を残し、もう1回山場をつくる事ができます。
例「男には一生忘れられない女(ひと)がいる」作品を印象付ける、キメ台詞の意味もあります。

男の懺悔
風が変わりました
もうすぐ秋ですね
あなたの住む 北のたよりを
テレビで見ています
逢いたいね もう一度
わがまま言って困らせたけど
逢いたいね もう一度
喧嘩ばかりしてたけど
男には一生忘れられない女(ひと)がいる

どうでしょうか?
男の懺悔は、私の経験100%、未練100%の作品ですが、この歌を聞くたびに、当時泣かせてしまった女性の顔が浮かんできます。久しぶりに、改めて懺悔しました。


森田一夫音楽クリニック
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ライタープロフィール

Jack天野/男性/年齢:50代/セブ島在住/13歳より横須賀の将校クラブでドラマーデビュー、20歳でハモンドオルガン奏者、その後ピアノの弾き語りとしてファイアットリージェンシーと契約し東南アジア各国のホテルロービーピアニストを務めました。ちょっとマイナーな部分も含めて、楽しい記事を書きたいと思います。宜しくお願いします。