仕事体験記
こんな仕事を経験しました。聞いてみたかった仕事体験記。

引越し作業員/30男 親を思う

2012/03/19

30歳になり、そろそろ親孝行でもしなきゃなと思う今日この頃、若かりし日のすっぱい思い出が胸をよぎります。

仕送りをもらいながら大学生活を送ることになったんですが、当時の私はそれまで見たことないような額が預金通帳に振り込まれるのを見て、「これはいかん、親に苦労かけすぎだ」と妙な孝行心が出てきたわけです。お小遣い数千円の小僧からすると、何万なんて金は大金だったんです。

それでアルバイトをいろいろ探し、実際にやることになりました。居酒屋から始まり、コンビニなどなど。ただ、学校に通いながらだと、なかなか思うように稼げない。そこで目を付けたのが引っ越しのアルバイト。土日は学校が休みだったので、そこを利用して働けば月8万くらいいく、そうすると親に「仕送り減らして」と言える…。

そんなきっかけで始めた引越しのアルバイト。体力には自信があったんです。小中高と、体育会系だったので。ただ、現実はそう甘くないですよね。実際にやってみると、本当にきつかった。毎回二現場を回るのですが、段ボールを抱えて家とトラックの間を何度も何度も往復。そりゃあ一回へ二回だったらなんてことのないのでしょうが、繰り返し繰り返しやると、もう腕がパンパン。バイトを始めて2週間くらいで、見込みの甘さを痛感させられました。

それでも、3ヶ月は続けたんです。働けば、ちゃんと予定通りの収入は入ってくる。親にも事情を話して仕送りを減らしてもらいました。親もほめてくれました。ただ、ダメだった。心が折れてバイトを辞める。そして親にまた以前の満額で仕送りをお願いする。嫌な顔せず笑いながら仕送りを続けてくれましたが、まったく情けないのなんの。

歳をとればいろんなことが分かってくるもんです。親の偉大さ然り。上に姉がいて、二人揃って私学に通い、二人揃って仕送りをもらっていました。同じことをやれるかって言われれば、う〜ん、むずかしいかもね。それに、全国の引っ越し業者の方もそう。自分がきつくてドロップアウトしただけに、もう脱帽です。

ライタープロフィール

横浜ホームズさん/男性/年齢:30代/横浜在住、福岡から横浜に来てはや10数年。もはや博多っ子と浜っ子の境を見失う30男。美しいものが好き。だけど醜いものはもっと好き。人生、味がある方がいいよね。