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高知県/日本一温かい方言・土佐弁

2020/08/21

博多弁、京都弁、沖縄弁…。日本各地それぞれに味のある方言はたくさんありますが、私が一番温かさを感じるのが、高知県の土佐弁です。私は愛知県の三河地方で生まれ青森県の津軽地方で育ったので、自分自身が使っていた方言は三河弁と津軽弁。この2つの方言にもかなり個性があり(特に津軽弁)、それなりの温かさは感じますが土佐弁には敵いません。

私はどこかへ旅行すると、有名な観光地以外にも楽しみにしていることがいくつかあります。地元企業が経営するご当地スーパー、地元の人が集まる飲み屋さん、そして方言です。たとえば「ありがとう」という言葉ひとつ取ってもイントネーションやアクセントが違い、注意して聞いてみるとかなり面白いんですよ。そんな感じで普段から旅行の時は注意深く耳をそばだてている私。高知県のとある道端で聞いた土佐弁が今でも忘れられません。

どちらかというと繁華街というよりは住宅がたくさんある道を歩いていた時のこと。かなり高齢らしきおばあちゃんが1人ぽけぇ〜っと中空を見ていました。まさに今家から出てきたような、エプロンとサンダル姿。私は「このおばあちゃん大丈夫かな?」と思いましたが、声をかける勇気もなく通り過ぎます。おばあちゃんは突っ立って中空を眺めたまま。何度か振り向きながら先を急ぐと、前から中年のおばさまが小走りにこちらへ向かってきます。「おばあちゃんいかんちゃ!雨来よるよ!」と言いながら。

おそらく「おばあちゃんだめよ!雨降ってくるんだから!」という意味なのだと思いますが、家族に無断で外に出たおばあちゃんをたしなめている雰囲気。こうして文字で書いても、標準語よりずいぶんと優しいニュアンスではありませんか?「いかんちゃ」という子どもを優しく叱る時のような響きと、雨が「来る」という表現。私は何だかとてもほっこりとした気持ちになったのをよく覚えています。

私が直に接してきた三河弁と津軽弁ですが、土佐弁に比べるとどうにもキツイ印象。荒めの言葉というか何というか…。三河弁や津軽弁で怒ると標準語の何倍も怒っているように感じますが、土佐弁は何だか柔らかくて怒っていても優しさが含まれている感じがするのです。この高知でのおばさまとおばあちゃんのやりとりを聞いて以来私は、テレビから土佐弁らしきものが聞こえてくると、ウットリと聞き入ってしまうのです。

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ライタープロフィール

李内(りうち)さん/女性/年齢:30代/町田市在住/愛知県生まれ。夫と愛犬の3人暮らしのごくごく普通の主婦。仕事はサービス業。趣味は読書、料理、仕事。犬が大好きで愛犬と過ごす時間が何よりの幸せです。