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チベット/チベットで売られている謎の絵、曼荼羅紀行
2013/02/21
チベット
mandala
チベットに初めて足を運んだとき、私は1枚の絵に出会った。これは・・なんだろう?丸い円の中に丸い円が描かれ、その中に方形やいろんな模様があり、幾何学的な模様のようになっている。アート作品ではないし、ただならぬ何かの意味を持っているように見える。でも、何のために使われるのか、さっぱりわからない。
気になって町の露店を見て周ってみると、あちこちに似たようなものが売られていた。この絵には、「何か」がある。私は夢中になって、この絵を探し回った。
そして、お店の人に聞いてみる。「これは何?」・・その答えは、「mandala」だった。曼荼羅。名前は聞いたことはあるけど、実際はよくわからない。そんな感じだったが、絵に強く惹かれてしまった私は、数枚の曼荼羅をおみやげに買っていった。
日本に帰ると、さっそく調べてみた。「曼荼羅」。サンスクリット語で円を意味する、仏たちの世界観を表した仏画。古来インドに起源を持ち、チベットをはじめ中国、朝鮮、日本などで描かれる、という。日本の曼荼羅を見てみると、たしかに仏様の絵が描いてある。でも、おみやげに買ってきたそれは、仏様の姿はなく、幾何学の模様だ。
更に詳しく調べてみると、実は、幾何学模様に見えた絵は、仏様は具体的に姿を書かずに、でもそこにいることをシンボリックに表した絵だったようだ。五行説を表す火や水をあらわす模様、仏様を象徴する梵字。全てに意味があり、チベット密教の智慧がつめこまれていた・・・なんだかよくわからないけど凄い、そんな曼荼羅の魅力は、そこに込められたチベット密教の思想にあったのだ。
そう思ってこの絵を見直すと、私はチベットの文化を身にしみて思い出すことができた。マニ車と呼ばれる祈りの道具を手で回しながら、寺院の周りをぐるぐると回り続ける人々。オムマニペメフム・・という祈りの言葉をつぶやきながら、円のように、周り続ける。それは、永遠に続く時間、仏教の輪廻を表しているかのようだった。
正直、チベットのラサなどは、かつての文化がかなりなくなり、中国化しつつある。携帯電話を持ったお坊さんに、少しガッカリする人もいるかもしれない。でも、町に訪れるとき、ぜひ、絵や彫刻などの美術品や工芸品のお店に目を凝らしてみてほしい。きっとそこには、言葉には表せないチベットの智慧が詰まった、何かが残っているはず。
中花香さん/女性/年齢:20代/鎌倉出身/会社員/海外旅行、バイオリン演奏、ライブなどが趣味。好きなものは映像、絵本、仏像などです。