みんなの五つ星グルメ
これぞ美味!みんなが見つけたとっておきのグルメを紹介します。

苦手だったのに・・・今は愛してます〜ふじ野の自家製くじらベーコン:北海道

2011/05/06

小さな頃、地元(道南地方)では頻繁に食卓に並んでいたのが"くじら"。くじら汁に、くじらベーコン、くじらのから揚げなどなど。私より少し上の先輩の話だと、昔、給食にも出ていたそうです。

馴染みのない方も多いでしょう。今では高級品。もちろん捕鯨問題で賛否が分かれている現在。食文化としてどうなのか?正直私にはよくわかりません。保護ばかりが正義とも思えませんが・・・。

さて、食としての話題に戻りましょう。小さな頃、食卓にくじらベーコンが並ぶと、私はほとんど手をつけずにいました。毎回出てくるので飽きたというのもありますが、口に入れた瞬間の脂っぽさがどうも苦手だったのです。しかも、着色料でも使っているのかな?と思うほど、異様に身が赤い。そんなこんな、私は、小学生の頃から食べるのをやめました。

それから20代になり、子供をもうけた頃、"子供のころ苦手だった食べ物は、大人になると、意外に美味しく食べることができる"という言葉を聞きました。ならば、今ならくじらベーコンが食べられるかもしれない。そんな期待に胸を膨らませ、おおみそかの夜に母が作ってくれた、くじら汁を食べてみた。結果から申しますと、やっぱダメ。全然美味しいとも思えない。相変わらず脂っぽいし、なんだか臭い。気持ち悪くなってしまった。ということで、久しぶりのくじらを目の前に、玉砕したのでした。

それから気づけば30代。お客様に連れて行ってもらったお店『ふじ野』にて、私が嫌いなくじらベーコンがあったのです。なんでも、自家製でとてつもなく美味しいと言う。「私、苦手なんです」と言ったものの、頼んでしまわれたので少しは手をつけなきゃと思い、一切れ口にしてみました。

するとどうでしょう。妙な脂っぽさはなく臭みもない。しかも、昔食べた異様な赤色ではなく、茶色っぽいのです。その瞬間、目からウロコが落ちるという経験をしました。不思議なほど何枚でもいけるのです。結局ほとんどを平らげてしまった私は、感動に身を包まれ、やや暫く「くじらベーコン」というワードをあちこちで口にしていました。「ふじ野さんの自家製くじらベーコンはたまんないよ」と。あんなに苦手で不味いと思っていたくじらが、こんなに美味しいなんて。私が今まで食していたくじらは、なんだったのだろう。まさか、イルカじゃないわよね。と一瞬思ったけど。

それにしてもやっぱり、手をかけて作られた食べ物って、美味しいのね〜と妙に納得しました。そんなこと言ったら、うちの母に申し訳ないような気もしますが・・・。

兎にも角にも、苦手な食材を克服できました。それを機に、他のお店でも食べられるようになったのですから、ふじ野さんには感謝ですね。

食べたことがある人もない人も、是非食べてもらいたい一品です。

ふじ野

ライタープロフィール

アールさん/女性/年齢:30代/北海道函館市在住/中学生の男の子2人をもつシングルマザーです。ホステスとして働いていますが、空いた時間は趣味のオークションで出品作業。好きなことは読書と音楽・映画鑑賞。ただ、今はちょっとその時間が取れないのが残念。食べて飲んで寝ることが今の楽しみで、それがストレス解消にも。それでも疲れが著しい時は、椎名林檎さんのCDやDVDで英気を養います。