みんなの五つ星グルメ
これぞ美味!みんなが見つけたとっておきのグルメを紹介します。

初めての昼食会は、永平寺禅どうふの郷「幸家」で:福井県

2011/09/09

この春に就職をした長女が、昼食に誘ってくれました。初めてもらった給料で、家族5人だけではなく、祖父母も交えた7人を招待してくれるというのです。食事に行く先は、福井県にある豆腐専門店、永平寺禅どうふの郷「幸家(さちや)」というお店でした。

もちろん私は、とても嬉しかったのです。これまで連れていくだけだった長女に、食事に連れて行ってもらえるのですから…。しかし私はどちらかというと、肉や魚のほうが好きでした。というよりも、豆腐だけで作った食事なんかで満足できるはずがない、と思っていたのです。

とにかく私は、質よりも量でした。お腹がいっぱいにならないと、機嫌が悪くなってしまうのです。でもせっかく長女が招待してくれる食事会です。私は我慢して行こうと思いました。

私が車を運転して、高速道路を走りました。福井北インターを降りてしばらく走ると、目的の「幸家」に着きました。緑を背景にして、平屋造りの日本家屋が上品に建っていました。中に入ると、日本の風情が店内いっぱいに溢れていました。

私たちは、予約席と書いた札が立ててある席に通されました。少し緊張して席に着くと、すぐに食事が運ばれてきました。お品書きもちゃんと付いていて、それはいまNHKで放映している大河ドラマの、「お江精進姫ご膳」という名前の精進料理でした。どれもみな豆腐でできているいることに、まず私は驚きました。しかしそれよりも何よりも、大食漢の私がその精進料理だけで満足したことに、他の皆が驚いたのです。

祖父母に妻、3人の子どもたちが、じっと私を見ています。「本当にお腹いっぱいになったの?」と、皆が不思議そうに訊いてきました。

「うん、満足満足」と答えながら、私はこのとき初めて、本当の美味しさというものを知りました。豆腐だけを材料にして、これだけの料理を作れるということ。そしてそのことを私に教えてくれた長女の気持ちで、私の心とお腹は満腹だったのです。

永平寺禅どうふの郷「幸家(さちや)」

ライタープロフィール

キイチロウ/男性/50代/福井県在住/ごく普通の仕事をしていて、ごく普通の考え方をする、ごく普通の趣味を持った、ごく普通の外見の人間です。ただ他の人よりも少しだけ、人間ウォッチングに優れていると自分では思っています。