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インドに完敗!フライト乗り遅れ事件完全レポ
2014/02/17
その夜わたしは、ネパールとインドの国境を越えて、インド側の街・ゴラクプールからデリー行きの寝台列車に乗ろうとしていました。
無事ゴラクプール駅に着き、あとは列車に乗るだけ。インドでは珍しいことに、たったの45分遅れで列車がホームに入ってきました。インドの列車にはそれぞれ4ケタの番号が付いているのですが、その列車の番号は、最後の1ケタだけ、わたしのチケットにある数字と違っていました。でも列車名は同じだったので(列車には○○Expressというような名前も付いている)、多分使用車種が変更されたんだろう、くらいに思って、その列車に飛び乗りました。
真夜中、自分の寝台で眠っていると、誰かに揺り起こされました。起きるとインド人の親子連れが、「ここはわたしたちの寝台だ」と言ってチケットを見せてきました。確かに列車名も、車両No.も寝台No.もわたしのものと同じだったので、発券ミスか、どうする、などと話していました。
しばらくして車掌がチケットチェックに来たので、事情を説明すると、車掌がチケットを見てわたしにひとこと。
「あんた、乗る電車間違ってるよ」
なんと、同じ名前の逆方向行きの列車に乗っていたのです。どおりで列車Noが違うわけです。
血の気が引くというのはまさにあのときのこと。列車を乗り間違えただけならまだしも、次の日の夜にデリー発東京行きのフライトに乗る予定が!とりあえず降りて、とにべもなく言われ、午前4時に名前も聞いたことのない駅で降ろされました。あまりの事態に全身嫌な汗がダラダラです。インド人が殺到する窓口で何とか同日発のデリー行きチケットを買い、再び寝台車に乗り込みました。
次の日のお昼12時デリー着の列車だったので、たとえ2-3時間到着が遅れたとしても、19時発のフライトには十分間に合うはずでした。フライトまでどうやって時間を潰そうかな、そんなことまで考えていました。
しかしタージの町アグラに近づいたあたりから、列車が止まってはちょっと動きまた止まる、を繰りかえし始めました。結局アグラを12時に通過。本当ならデリーに着いているはずの時間です。でもまあインドに限って定刻というのはありえないし、アグラ−デリーは通常4時間ほどなので、さらに遅れるとしても、駅からタクシーに飛び乗れば間に合うはず。と、そのときはまだ余裕がありました。
けれど、アグラとデリーのあいだのどこかの平原で、汽車はぴくりとも動かなくなりました。周りの人にどうして止まっているのか聞いても、知らないと首を振るばかり。平原はどんどん暮れていき、結局わたしは止まった列車の中で、テイクオフの19時を迎えました。むやみに綺麗な夕陽をぼう然としながら眺めた記憶が残っています。
インドは何が起こってもおかしくない国というのは分かっていたつもりでしたが、さすがにこのときは打ちのめされました……。これがトラウマになり、以後バスや電車に乗るときは、周囲に行き先をしつこすぎるくらい確認するようになりました。今だに思い出すとお尻がむずむずするような失敗談です。
そま ちひろさん/女性/年齢:30代/中南米(2013年現在)/フリーライターおよび翻訳業。お気に入りの国はインド、住んでみたい国はスペイン、そして現在は南米を縦横断中、という矛盾だらけの人生を満喫しています。著作に「ヘラクレイトスの水」(大宰治賞2009収録)。