死ぬかと思った話
これはやばい…本気で死ぬかと思った話を紹介します。

ご先祖供養は大切に

2019/09/04

私は田舎育ちなので、子供時代から本家とか分家とかそういうことに身近な環境に生きていました。お盆と暮れのお墓参りに法事、月命日の法要までしっかりこなす親戚たちが周りにたくさんいて、そういう行事は当たり前にやるものと思って育ちました。しかし思春期になるとそういうことも鬱陶しく感じ始め、足が遠のいてしまうこともありました。

私が高校生だった年の夏、面倒くさいなぁと思いながらも祖母の法事で親戚の家へ行った日のこと。私は月命日の法要にはほとんど顔を出さなくなっていて、何回忌かの大きな法事ということで久しぶりに法要に参加しました。法要が終わり家へ帰って、レンタルビデオ屋さんで映画でも借りようと思い今度は自転車で家を出ました。 いつもの道をいつものように自転車で走り、目の前にレンタルビデオ屋さんの前の横断歩道に到着。信号は赤。ですがここは広いけれど抜け道のような道路で、車はいつもそんなに来ません。一瞬の逡巡のあと、私は赤信号の横断歩道を自転車で渡りました。

ペダルを漕ぎ出し横断歩道の真ん中あたりまで来た時、左手からものすごいスピードのダンプカーが。ものすごいスピードと思ったのは私の錯覚かもしれませんが、とにかく減速しないダンプカーが迫ってきました。不思議と怖いと思った記憶はありません。そしてブレーキをかける間もありません。「死ぬ時ってこういうもんなんだ」とやけにくっきりした頭で思いました。

自転車の前輪がダンプカースレスレに来たその時、Tシャツの首元を後ろから引っ張られるような感覚があり自転車は停車。ダンプカーはそのまま走り去り、私は自転車にまたがったまま道路の真ん中で呆然としていました。自転車を降り、のろのろとレンタルビデオ屋さんの駐輪場へ入っていったのでした。

お店に入っても何の映画が見たいのか考えがまとまらず、結局何も借りずに帰ってきた記憶があります。絶対に死ぬと思ったあの瞬間。不思議と恐怖感はまったくなく「あぁ死ぬんだな」と冷静に思っていました。少し落ち着いてから、あの時のあの後ろに引っ張られるような感覚はおばあちゃんだったんだと直感しました。何の根拠もありません。法事に行ったからそんな気分になっただけかもしれません。でも私はおばあちゃんが助けてくれたのだと今でも信じています。それ以来私は、お盆と暮れのお墓参りは欠かしていません。そしてどんなに車が来ない道路でも、信号無視も絶対にしなくなりました。

ライタープロフィール

李内(りうち)さん/女性/年齢:30代/町田市在住/愛知県生まれ。夫と愛犬の3人暮らしのごくごく普通の主婦。仕事はサービス業。趣味は読書、料理、仕事。犬が大好きで愛犬と過ごす時間が何よりの幸せです。