心に残る一冊
お気に入りの世界観、人生を変えた一冊、何度も読み返してしまう本を紹介します。

人生を変えた一冊〜研究の道からビジネスの道へ〜

2010/05/02

私が大学生の頃、研究の道からビジネスの道へと進路を変えるキッカケになった一冊をご紹介します。

プロフェッショナルの条件―いかに成果をあげ、成長するか(amazon.co.jpで詳細を見る)

この本には知識労働者と名づけられた現代の労働者に対するアドバイスが多く含まれていました。いま世界で何が起こっているのか、働くことの意味、自らをマネジメントする方法、意思決定のための基礎知識、自己実現への挑戦と題された章を読み進める内に、自分が理想とする社会人像がはっきりとしていったのです。

それは、自らの頭でモノを考え、決定を下し、組織に依存することの無い知識労働のプロフェッショナルになることでした。当時考えたのは、これから自分がなろうとしている研究者とは、このドラッカーのいう知識労働者のプロフェッショナルなのだろうか?という点でした。

研究者は知識労働の代表のような職業だと考えていました。自らの強みを活かして新たな事実を探求する職業としての研究者は、大変に魅力的なものでした。この本を読んで知識労働の根幹をなす考え方を学んだ時、改めて研究者という職業の難易度の高さを再認識したのです。つまり、私にとってなれるだろうと思っていた研究者という職業は、実際にはとてもなれそうにない職業になってしまいました。

いかに成果を出すか、知的生産性を向上させるか、イノベーションを起こすか、その方法というか考え方を元に研究者という職業が果たすべき責任を考えたとき、当時の私には成果の出し方や知的生産性を向上させるための答えが出せなかったのです。「既にあるものをこねくり回しても研究にはならない、でも新しいものを探す能力は、ここに書かれている条件をもってしても身につかないだろう。」そう思えてしまったのです。

もちろん、この書籍の他に、はじめて読むドラッカーシリーズにはイノベーターの条件、テクノロジストの条件などのシリーズ書籍があり、私がなろうとしていた研究者に必要な条件を書き連ねた書籍がありました。

しかしそれらの書籍を読んでも体系化された研究プロセスなど存在しませんでした。研究という職種はその道の先にあるものが読めない職業であると思うに至りました。この本は一流の仕事をするにはどうすればよいか?という視点で書かれている本でした。その視点で書かれた条件は、私が目指していた職業の難しさを現実のものとして私に突きつけてきました。一流の仕事に憧れていた私は、研究の世界でその目標を達成することの難しさを悟り、その道に進むことを諦めました。

いま、研究の道に進んでいたらどのような社会人になっていたかと想像することがあります。もう一度この本を読んで、あの時の選択が正しかったのか検証してみたいと思います。

ライタープロフィール

ラビット/男性/年齢:20代/神奈川県在住、季節のデザートが好きな20代男性です。よくスイーツ系男子って言われます。でも本当は草食系です。最近はヨガに関心があります。歪んだ骨盤を治したいのです。