- 運の良かった話
- ありえない…運の良かった話を紹介します。
ビンボーで良かった、助かった!
2010/09/02
それは、暮れも押しつまったある夜のこと、ハタチになったばかりの私は、友だちの下宿で、初めてシコタマ飲みました。
なんせ、アルコールの初心者ですから、「適量」なんてわかりません。そのくせ、体力のほうはマックスです。安いウイスキーをコーラで割って、口当たりがいいので、ガンガンと……。ふたりで1,5リットルのボトルをほぼ開けたところで、おたがい、コタツの中で記憶を失っていきました。
窓もきちんと閉まらない、天井のほうからもすきま風が吹きつけるような、古い安アパートの一室ですが、石油ストーブの火はついていました。
明け方、なんだか、キナくさい臭いで目がさめました。部屋の中を、何か黒いモノが舞っています。
「なんだろう……」。頭はガンガンするし、吐き気はするし、「二日酔いって、こういうのかな」と思っていました。いや、だが、待てよ。この臭いと、この黒いモノは何?
灯油がキレて、空焚きしてたというわけです。黒いモノの正体は、ススでした。友だちが先輩から譲られたという石油ストーブは、おそらくその先輩も先輩から譲られたという、やたらに年季の入ったシロモノで、自動消火装置がついてなかったのか、壊れてたのか……。
「ひえーっ!」。いまだ爆睡してる友人をたたき起こして、とりあえず窓を全開にして、濡れ雑巾でストーブの取っ手をつかんで、放り出し……。
「あぶなかったね、もう少しで火事になるところだった」「石油でよかった。ガスだったら、中毒になってるところじゃない?」。
いや、石油ストーブだって、一酸化炭素中毒を起こしてたかも知れません。でも、助かった。なぜなら、その安アパートは、あまりにスキマだらけだったから――。ビンボーだったからこそ、命びろいしたというお話です。
ちなみに、その友人は、いまは地方公務員として、「青少年の健全な育成」に携わっているそうです。
オオタクーミンさん/女性/東京在住、もしかして「鉄子」と「歴女」のさきがけだったのかも知れない、ぎりぎりアラフォー世代のライターです。小さいころから、愛読書の1つが時刻表で、プライベートの国内旅行には、たとえ北海道を旅するのにも、飛行機を使うなんてことは、はじめから考えない、まったく日航を応援してない日本人です。