感動した話
思い出すとジーンとくる…感動した話を紹介します。

ライフ&ライブ

2012/03/07

ナチュラルコンサート

ナチュラルコンサート

平成21年の9月29日の深夜、弟夫婦のひとり娘のT君が、車の事故で、21歳の若さで早世してしまいました。

その頃、私は30年ぶりにライブ活動を、10年ぶりに音楽活動(私と弟はオリジナル曲のみ演奏しています)を再開していました。弟夫婦と弟夫婦の娘、T君の思い出づくりにすることが大きな目的で、「ナチュラルコンサート」というライブを企画、主催、そして歌と演奏をするものをはじめて、第1回が終わった直後の出来事でした。一回目は私と弟と友人だけのコンサートでしたが、いずれは弟夫婦とT君も参加して楽しく演奏できるだろうと思っていたのです。弟は音楽活動を続けていましたが、愛娘の死に大きなショックをうけて音楽活動をやめてしまいました。

T君が成長してからも、さまざまなトラブルがあり、それらを乗り越えて、ここ一年ほどはとても幸せな日々だったそうです。T君は大学を卒業し、就職が決まっていた矢先でした。弟とY子さんの悲しみ、寂しさは他人にはとうていわかり得ないものだと思います。

第2回のライブはT君の追悼コンサートとしてやることにしました。弟夫婦が少しでも気分転換になれたらいい、という思いでした。平成21年の初冬、法事に出席してくれていた人たちも呼び、一般客をも入場させてのコンサートです。弟と、弟の妻のY子さんのたくさんの力をもらい、ほんとうに感動的なコンサートができました。60人分のチョコレートと生前のT君の画像や動画、私が作成した歌にあわせたイメージ映像を映写するためのプロジェクターもY子さんが購入してくれました。たくさんの知り合いに手紙をだして集客も懸命にしてくれました。ほか、来客のみなさんにわかるようにと、ポスターも手配し貼ってくれたりもしてくれました。弟の妻の親友のNさんも受付などをしてくれました。私が出演をお願いしたアマチュアミュージシャンの3組も、ときおり泣きながらの熱演でした。

コンサートの最後には、T君の幼い頃から事故のまえ、1ヶ月まえまでの写真や映像に、彼女の大好きだった、加藤ミリヤの「ラブフォーエバー」をのせて映写して終わりました。みなさんから感動しましたという感想をいただきました。なによりも、主賓である、弟夫婦にいちばん喜んでもらえました。もともと、弟夫婦とT君のためにやろうとしたコンサートでしたので、私自身、ほんとうに幸せでした。今でもT君のことを思うと辛くなりますが、T君の両親である弟夫婦のためにこのコンサートを応援してくれたのだと、今は思っています。弟もそのコンサートをきっかけにして、音楽活動を再開してくれました。

生涯のなかでも3本指に入るほど幸せな一日でした。3人のためにやったはずのコンサートでしたが、私自身がいちばん感動していたように思います。

ライタープロフィール

MUMUさん/男性/年齢:50代/新潟県在住/神社が好きで日本各地をまわっています。趣味でボーカロイドでの音楽作りやギターでオリジナルの歌をつくり、ときどきライブもしています。自分らしく生きることをモットーにしています。