心に残る一冊
お気に入りの世界観、人生を変えた一冊、何度も読み返してしまう本を紹介します。

本当の旅好きなら、誰もがバイブルかもしれません。

2012/03/11

沢木耕太郎さんの『深夜特急』を初めて読んだのは、それほど前のことではありませんでした。たまたま数年前にヨーロッパに旅立つ前、空港で沢木さんの『旅する力―深夜特急ノート―』というハードカバーの本を見つけ、「長いフライトの間に暇つぶしになるかな」という程度で買って機内に持ち込んで読み始めました。中には、沢木さんの名作と言われる『深夜特急』にまつわるエピソードなどが書いてありました。そして帰国したその足で、空港にある書店で『深夜特急』の文庫本を全6冊、すべて買って帰宅しました。

深夜特急は、まず香港からスタートします。香港は何度か行ったことがある場所なのでよく知っているだけに、読んでいてとてもわかりやすく、とてもおもしろかったです。その後のマカオのギャンブル三昧は、その後に自分がマカオに足を運ぶきっかけになったほどでした。

そして、ストーリーはタイ、マレーシア、シンガポール、そしてインドと続きます。マレーシアのクアラルンプールにも行った経験があり、やはり自分が行った場所はじっくり読んでしまいました。一方、まだ行ってない場所も「なかなかおもしろそうだな〜」と思いながらどんどん読み進んで行きました。

この深夜特急がおもしろく感じたのは、とても限られた予算内で、基本「バスで英国・ロンドンまで行く」という、今では半ば考えられないようなバックパッカーの旅を、現地で体験したことをありのままに、わかりやすく書いてあるからではないかと思います。そしてこれぞ、旅の原点かと。

昨今、海外旅行というと未だに添乗員付きのツアーで全食事付き、というのが少なくありません。またバックパッカーも減っているように感じます。自分もさすがにバックパッカーではありませんが、航空券と宿だけ押さえてあと現地は自力で移動し、食事も自分で探します。それだけに深夜特急を読むと、旅の醍醐味がすべて載っているような気がしますし、読むたびに「旅に出たい」と思わせてくれる本です。

深夜特急〈1〉香港・マカオ (新潮文庫)
深夜特急〈2〉マレー半島・シンガポール (新潮文庫)
深夜特急〈3〉インド・ネパール (新潮文庫)
深夜特急〈4〉シルクロード (新潮文庫)
深夜特急〈5〉トルコ・ギリシャ・地中海 (新潮文庫)
深夜特急〈6〉南ヨーロッパ・ロンドン (新潮文庫)
amazon.co.jp

ライタープロフィール

AKIさん/女性/年齢:30代/大阪府在住、自己紹介:日本と世界を旅しています。好きなモノは、ご当地グルメ・スポーツ観戦・空港・鉄道・歴史・温泉など。大きめのバイクにも乗ります。海外のサーキット行脚もライフワーク。