人生最悪の瞬間
今まで生きてきた中で最悪だったときはどんなとき?人生最悪の瞬間を紹介します。

地獄の底が見えたギャンブル地獄

2012/04/02

私はバンドの仕事を長年やっていました。バンドマンは賭け事が好きで、休憩時間は否応なしに先輩から誘われます。主にポーカーがメインですが、バンドマンのポーカーは8ポーカーと言って一寸違いがあります。伏せたカードが3枚配られ、表にされたカードが5枚開かれる計8枚のポーカーです。カードを1枚開くごとに、掛け金が釣り上がり安価なレートでも非常に博打性の強いゲームです。

やがてバンドマンから店の従業員に広がり、そして店のオーナー達の間に広がっていきました。一日の店の売り上げどころか、数か月分の収入が1日で消え、一日で数倍になっていきます。繁華街の有名なオーナー8名が集まって、深夜から朝方までポーカーをしていた時の話です。

この時は勝ったり負けたりで動きがなく、みんなアクビが出るほど刺激のないゲーム展開でした。最後の1回という宣言がされて、レートが10倍になりました。私に配られた裏返しのカードは、なんとエースが3枚、表の1枚目はキングでした。二枚のカードは、クイーンです。ここまで誰一人降りる事がなく、場にある掛け金は既に500万円を超えていたのです。

3枚目のカードはキングでした。これで私はエースフルが確定です。エースフルはフラッシュやストレートよりも強く、同じフルハウスでも一番強いのです。顔色を変えず悟られないようにしながら、掛け金を上げていきました。4枚目のカードは数字の3でした。誰も降りません。最後の一枚が配られました。私のカードはエースです。つまり最後でエースのフォアカードという滅多に出ないカードが揃ったのです。

私の気配を感じた4人は直ぐに降りてしまいました。しかし、残った一人が掛け金をどんどん吊り上げてくるのです。相手のカードを良く見ると、クローバーの246、そしてキングが2枚表に見えます。どう見ても相手に勝ち目がなく、勝ちを確信していました。

場の掛け金は1千万を越えています。相手がコールし、お互いのカードを見せる事になりました。私は自信ありげに「エースの4本」と言うと、相手は「クローバーのストレートフラッシュ」と言いました。

はじめは状況がわからず、お金を取ろうとしたら「あなたの負けです」といわれ最強と思っていたエースの4本より、低い数字でもストレートフラッシュの方が上だと気が付いたのです。

天国から地獄の底へまっさかさま。一生忘れる事の出来ない顔面蒼白の瞬間です。

ライタープロフィール

Jack天野/男性/年齢:50代/セブ島在住/13歳より横須賀の将校クラブでドラマーデビュー、20歳でハモンドオルガン奏者、その後ピアノの弾き語りとしてファイアットリージェンシーと契約し東南アジア各国のホテルロービーピアニストを務めました。ちょっとマイナーな部分も含めて、楽しい記事を書きたいと思います。宜しくお願いします。