感動した話
思い出すとジーンとくる…感動した話を紹介します。

四国とおじさんとミレニアム

2012/02/07

一人旅が好きで、国内国外関わらず、いろんなところを旅しているのですが、おそらくそうなったきっかけは大学一年生の頃の四国なのかな、と思います。ちょうどミレニアムを迎える直前のことで、日本中がどうやってミレニアムを迎えるのかということに熱狂していたことを思い出します。かくいう私もその一人で、さてさてどうやったら特別な瞬間になるのかな、などと考えていました。

選択肢はいろいろとあって、例えば当時付き合っていた女の子と過ごすというのがもっともシンプルだったのでしょう。ただ、どうにもアマノジャクな性格なもので、「鈍行で横浜から福岡まで帰ってみよう!」と思いついてしまったわけです。今から思えばまったくバカですが、当時の私にはそうすることがとても大切なことにおもえたわけです。

思いついた翌日、つまり12月30日に東海道線に乗り、西へ向かう。お腹が空けば電車を降りて適当なものを食べ、また電車に乗る。夜になり、そろそろ電車も止まろうかという時間、ようやく着いたのは大阪。そこで一夜を過ごし、31日、再び電車。そのまま九州に帰るのもつまらなく思い、瀬戸大橋を渡り四国へ上陸。単線で西回り。瀬戸内海を眺めながらのんびりと電車はすすむ、わけです。

まったく行き当たりばったりでしたので、まさか年内に福岡まで辿り着けないなんてことは考えていませんでした。最終的にたどり着けたのは愛媛のとある田舎町。電車も止まり、ようやく見つけたフェリー乗り場も閉まっている。お店もない。時計はあと一時間でミレニアム。まったく自分の適当さ加減を呪ったものです。

実際寒い中をどうやって過ごそうかと困っていたんです。そんなあときに声をかけてくれたのがフェリー乗り場のおじさん。事情を話すともう締め切ったフェリー乗り場へ案内してくれて、缶ビールを出してくれたんです。もうそのビールがたまらなく美味しかった。

けっきょく、そのままおじさんと朝まで飲んでました。ミレニアム初日の出を眺めながら、おじさんにもらったビール、忘れられない思い出です。

ライタープロフィール

横浜ホームズさん/男性/年齢:30代/横浜在住、福岡から横浜に来てはや10数年。もはや博多っ子と浜っ子の境を見失う30男。美しいものが好き。だけど醜いものはもっと好き。人生、味がある方がいいよね。