運の良かった話
ありえない…運の良かった話を紹介します。

犯罪を起こす瞬間とは

2010/07/04

人間誰しも法には触れたくないと思っているとおもいます。でも、故意ではなく、交通事故のようにやむを得ず起こしてしまうこともあります。これは、故意ではなく殺人を起こしそうになったお話をします。

高校生のときアーチェリー部に入学した私は、毎日筋トレをする日々を送っていました。そんな生活が1ヶ月続いたある日、やっと初心者練習用の弓で矢を撃つ練習を始めました。最初は的の1m前から次は5m、その次は10mと徐々に距離を伸ばしていき、15mに達したときです。

練習で使っていたアーチェリー場は、左右に畑とプールがあり、前後には校舎と陸上部が使うトラックがありました。撃つ練習をしているときは、プールを背にして畑方向に的を置き撃っていましたが、その、プールと的を置いていたところは陸上部がトラックに行く通路にもなっていました。プールの裏を通っても行けましたが、そこだとほんの少しだけ遠回りになってしまうのです。

距離が15mになってしまうとプールの建物の壁ギリギリに立って撃つので、練習をしている間に陸上部の人がそこを通るときは、矢を撃つのを確認してから前を通っていきます。誰だって撃たれそうになる危険を犯してまで、急いで通る人はいませんでしたし、陸上部とアーチェリー部の暗黙の了解にもなっていました。

だけれど、その日だけは違いました。的を狙っている間は集中しているので的しか見ていなく、周りは全く分からない自分だけの世界に入り込みます。一度に3本撃ち、そこで一旦点数を確認するのですが、そのとき私は15mで今までで一番いい点数が出そうなところでした。残り1本、これを集中して決めれば新記録だと気合をいれ、構え、よく狙い、矢を放したその瞬間、陸上部の一人が的の前を歩いていたのです。気がついたときには矢を放してしまっていたので、もうどうすることも出来ません。うわっ刺さる!と思ったその矢は、陸上部員のギリギリ首の後ろを通り的に刺さりました。

その陸上部員はかなり焦ったのか、こちらを見向きもせず急いで走って逃げていきました。その光景を見ていた先輩に「おしい。」と声をかけられましたが、かなり動揺していた私は何も答えられませんでした。

もし、あの矢を撃つのが1秒早かったら首にみごとにヒットしていたことでしょうし、矢が刺さってしまっていたらなんて考えたくもありません。たった1秒で今の人生とは180度違う道を歩いていたに違いありません。あのときばかりは、世界で一番運があったと思います。

余談ですが、その事件があって以来、練習をしている間陸上部員はプール裏を通るようになりました。

ライタープロフィール

ヒットさん/女性/年齢:20代/東京都在住、ウインタースポーツ・モータースポーツが好きな20代女子です。粉物の食べ物や、スイーツが好きで良く食べに行きます。お酒にも目がないのでいろんな銘柄・種類に挑戦中です。