不思議な体験
ありえないことが起きた!驚く不思議な体験を紹介します。

満員電車で痴漢撃退、そして、その後…

2012/06/11

ボクがまだ高校2年生の時でした。じつは某私鉄の満員電車で、痴漢をしていた男を撃退したことがあるのです。ある朝のこと、通学のため右手に鞄をさげ、丸めて帯で縛った柔道着を左手に持ったボクは、いつもの駅から満員電車に乗り込み、しばらくの間、何をすることもなく電車の揺れに身を任せておりました。ふと、何気なく社内を見廻した時でした。ネクタイにスーツというサラリーマン風の男の右手が、男のすぐ近くにいてつり革につかまりながら俯いている、若い女性の尻や太ももに触っているのをはっきりと目撃したのです。

当時のボクはというと、中学から始めた柔道は高校へと進学してからもそのまま続けており、そのおかげで、中肉中背の筋肉質の体と気の強さだけには自信があったのです。肩のあたりまでかかった髪の若い女性が、恥ずかしそうにうつむいている姿に義憤を感じたボクは、電車の揺れを利用して、少しずつそちらへと近づいていきました。そして、サラリーマン風の男の顔に自分の顔をグッと寄せると、睨みをきかせながら小さな声で、「ヤメロ!」と、ささやくように言ったのです。睨み返してきた男が、「なんだ、このクソガキが・・」と、ボクに言うと同時に、周囲にいたその男の仲間3人が異変に気づき、ゆっくりとボクを取り囲もうと動き始めたのでした。

なんと、その男には仲間がいたのでした。これはヤバイと思ったボク。電車が少しずつスピードを落とすためブレーキがかかり、そのたびにボクたちの体が右に左にゆれると、社内に次の駅が近いアナウンスが流れました。男が、「なんだ、お前!」と言いながら、ボクの左肩を掴もうとしたので、ボクはその手を払うと同時に、当時、"チョンパン"と呼ばれていた頭突きを、男の鼻のあたりめがけて思いっ切りくらわせていました。車内ででんぐり返った男。その男を助け起こそうとする仲間たち。いよいよヤバイと思っていると電車が止り、空気を抜くようなドアの開く音がボクの背後から聞こえてきました。

すると、それまで男に痴漢をされていた女性が、人ごみを素早くかき分けるようにしながらこちらに近寄り、ボクの腕をつかむと、「早く、早く!」と、ボクを急き立て、ボク引きずるようにして車外へと出て、そのまま二人してさっさと逃げて行ったのでした。さて、その後、某大学の英文科に通っていた2つ年上のこの彼女とは親しくなり、英語が大の苦手だったボクは、彼女に教科書の英文を訳してもらったり、年上とのことでいろいろおごってもらったり、そして、それまでのボクの人生では当たり前のごとく知らなかったことも、はじめて彼女に教えてもらったのでした。もっとも、その彼女とのつき合いは、彼女に好きな男性が出来たとの告白を聞かされた時に、終わりとなりました。

ライタープロフィール

ガクドウさん/男性/年齢:50代/横浜市在住、サラリーマン時代から、文章を書く仕事に携わっていた関係から、現在はライターを職とするようになりました。人からちょっと変っていると言われますが、その分、ちょっと違った角度から物を書くことが出来ると思っております。よろしくお願いします。/ブログ