運の良かった話
ありえない…運の良かった話を紹介します。

正直者は、大いにトクをする

2012/02/05

"犬も歩けば棒に当たる"と言います。ですが、歩いていて何かにぶつかるのは、なにも犬に限ったことではありません。人間だって歩けば何かにぶつかることもあるのです。もちろん、人や車など、あとあと厄介なことにぶつかる場合もあるでしょう。しかし、思わずニンマリとし、心の中でラッキーと叫ぶような事にぶつかることだって、実際にあるものなのです。

あれはまだボクが20代の半ばごろのこと、会社にいけば上司や先輩から怒られ、叱られ、小言を言われる毎日からようやく抜け出し、少しは一人前扱いされ始めたころだったと記憶しております。仕事で東京の新宿区にある設計事務所まで足を運んだ帰り道、ふと目をやると、路上に二つに折れた女物のサイフが落ちているではありませんか。

とっさに周囲を見回したボク。人が見ていないことを確認すると、そのサイフを拾い、急いで手に提げていたバッグの中へと押し込みました。そして、最寄りの駅に着くと、何気ない風を装いトイレへと直行。大きい方の個室に入ると、早速、サイフの中身を確かめはじめました。もちろん、少なくともボクはこの段階では、サイフの中身のお金を猫ばばするつもりだったのです。

サイフの中身は、なんと1万円札の束。それに小銭が少々。スゲェー、やったー、ラッキー、美味いもんでも食うか、なんて思いつつ、お金以外のものを物色していると、そのサイフの持ち主は外国人。しかも、まだ20歳の、専門学校に通う女の子のものだということが分かりました。なんで、こんな若い娘がこんな大金をと思いを巡らせているうちに、ボクの心に変化が現れはじめました。というのも、外国からやって心細いだろうに、それにこんな大金までなくし、さぞや困っているに違いないという気持ちがいっぱいに広がってきたのでした。

駅のトイレから出たボクは、駅員にわけを話し、拾ったサイフを警察に届けるため、一旦、駅を出るが、買った切符をそのまま有効にしてもらいたと話して了解を得ると、駅のすぐに近くにあった交番へと駆け込んだのでした。ただし、その後、そのサイフの持ち主は、自分のお国へと帰ってしまったのか、とうとう現れずじまいとなり、その半年後、中身のお金は、結局ボクのものとなっておりました。こんなことって、実際にあるものなのですね。いまだに夢かと思うほどです。

ライタープロフィール

ガクドウさん/男性/年齢:50代/横浜市在住、サラリーマン時代から、文章を書く仕事に携わっていた関係から、現在はライターを職とするようになりました。人からちょっと変っていると言われますが、その分、ちょっと違った角度から物を書くことが出来ると思っております。よろしくお願いします。/ブログ